2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23248042
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
真木 太一 筑波大学, 生命環境系, 客員教授 (80314970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇水 健次 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00240903)
西山 浩司 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20264070)
守田 治 福岡大学, 環境未来オフィス, 教授 (70112290)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 人工降雨 / 液体炭酸法 / 渇水 / 気象改良 / 水資源 / 航空機散布 / 積雲 / 人降雨降水雲 |
Research Abstract |
最適人工降雨法の開発として人工降雨効果の科学的評価、広範な降雨域の形成技術開発、多量水量確保の確立を図るため実験によって確認する。人工降雨実験は①北部九州と②東京都三宅島・御蔵島で実施した。①では2013年2月7、8日(冬型気圧配置)に実施した。両日とも1km程度の厚さの積雲(層積雲系)の中央部分に対して液体炭酸を散布した。7日は6g/s、8日は13.5g/sの散布率を設定した。7日には変化を捉えられなかったが、大きな散布率を与えた8日には明瞭な変化を捉えることができた。散布後、液体雲水からできた雲から周辺との境界が不明瞭、かつ表面が滑らかな雲へ明瞭な変化を確認した。これは液体雲水が氷晶へ効率よく変化したことを意味し、豪雪軽減および降水の空間移動に伴う水資源の確保と液体炭酸技術の適用拡大に繋がる重要な知見を得ることができた。②では2013年3月14、15日に実施した。14日には、液体炭酸(散布率5g/s)を航空機より厚さ1400m、高度1100mで散布した。雲頂付近に気温の逆転層があり、雲内が氷点下であった。雲頂と雲底付近の風向が逆向きで、かつ下層域の風速が大きく、20m/s程度であった。その結果、0.5~1時間後に人工対流雲から雨脚が発生することを確認するとともに、雲が雨に変わって消えたことで、幅約2km、距離50kmにわたって線状の晴天域が発生した。また、約2時間後にはレーダーに直径50kmの晴天域が確認できた。この結果、時間雨量1mmと推定されることで、少なくとも200万トンの降水量があったと推定された。また、西方より移動してきた背の高い対流雲への下層域での影響が推測されたが、これについては今後解析する。今後は、散布によって生じた証拠(気象衛星、気象レーダーに見られる特徴)が集められる気象条件下で実験を実施し、得られた結果を数値モデル等の物理的手法によって評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度および24年度の航空機による液体炭酸人工降雨法実験において、成功をしており、順調に成果が上がっている。 また、報告関係においても23年度に著書「人工降雨」を発行するとともに、24年度においては論文を発行しており、順調である。 なお、23年度の人工降雨実験結果については、さらに今後の学会等の発表会で報告していく予定である。そして24年度の人工降雨実験結果については今後、さらに解析するとともに、その結果を学会等の発表会で発表する予定である。最終的には、論文として発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度においても、数カ所で液体炭酸散布による人工降雨実験を実施する。これまでにおいても実験が成功しており、25年度においても成功することが期待される。 しかし、この種の研究に関しては、航空機を使った大掛かりな野外実験が主であるため、研究期間が3年間では短か過ぎる。このため、どうしても実験回数が多くできないことで、実用化には、さらに後、数年の研究期間が必要と推測される。
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