2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23248048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
若山 照彦 独立行政法人理化学研究所, ゲノム・リプログラミング研究チーム, チームリーダー (40360672)
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Keywords | 発生工学 / クローン / 絶滅動物 / 染色体 |
Research Abstract |
本研究は絶滅動物の細胞再生および未知の有用遺伝子の発掘を目標とし、マウスおよびラットをモデルとして実験を行っていく。初年度である本年は、ラットの凍結死体から採取した体細胞核を様々な方法でマウス卵子へ注入し、ラットの遺伝子を雑種という形でよみがえらせることを中心に行った。しかしラットの核すべてを注入したマウス卵子は、増殖可能な細胞株として樹立出来るものも得られたが、遺伝子発現を調べる実験には使えなかった。一方、ラット核から染色体1本だけを取り出してマウス卵子へ注入する方法を確立し、それらの卵子からES細胞の樹立を試みたところ、2株ではあるがラット染色体を1本含むマウスES細胞の樹立に成功した。このES細胞内に存在するラット染色体が何番のものであるかSKY染色法によって調べたところ、ラット9番染色体であることが予測された。そこでラット9番染色体上に存在し、マウスとはサイズの異なる遺伝子をいくつか選び出しゲノタイピングを行ったところ、その染色体がラット9番染色体であることが確認できた。次に、ラット9番染色体の遺伝子発現を調べるために、このES細胞を用いてキメラマウスを作製した。その結果、キメリズムは低いもののES細胞は多くの臓器に寄与しており、生殖細胞以外の各胚葉へ分化出来ることが明らかとなった。このES細胞はGFPが全身発現するマウスの卵子から作られているため、GFPポジティブの部位はES細胞由来である。そこでキメラマウスの臓器からGFPポジティブの部位を採取し、そこからラットの遺伝子の発現の有無をHiCEPで網羅的に解析した(放射線医学総合研究センターの安倍、荒木先生に依頼)。その結果、発現量は弱いが様々なラット遺伝子がキメラマウスのそれぞれの臓器で発現していることが確認できた。本結果は現在投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ数は少ないが、基本となるアイディアが可能であることが証明できた。今後データ数を増やし、再現性や効率化など詳細な問題を解決することで目標の達成が可能になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
再現性が確実ではなく、なぜ失敗する時があるのか不明であるため、この点を明らかにすることが最優先である。そこで薬品のロットや溶媒への溶かし方など、初心に帰って調べ直すことが必要である。一方、基本アイディアの実現に成功していることから、応用として本当に絶滅してしまった動物の試料を用いた実験も進めたい。
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Research Products
(16 results)