2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23249013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山梨 裕司 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40202387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手塚 徹 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50312319)
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Keywords | シグナル伝達 / 神経科学 |
Research Abstract |
神経筋シナプスは骨格筋収縮の制御に必須であり、その異常は筋無力症の原因となる。代表者らは、独自に発見した「アダプター分子Dok-7による受容体型キナーゼMuSKの筋管細胞内からの直接の活性化」と言う全く新しい分子機構が、神経筋シナプスの形成・維持シグナルの起点となることや、DOK7遺伝子の異常が先天性筋無力症(DOK7型筋無力症)の原因となることを発見し、Dok-7/MuSKシグナルが神経筋シナプスの形成と維持に必須であることを解明した。これらの成果を踏まえ、本研究は神経筋シナプスの形成・維持の根幹をなすDok-7依存的な骨格筋シグナル経路に加え、運動神経と骨格筋の緊密な連携を支える未同定のシグナル経路の詳細を解明し、その破綻による疾病の理解と診断・治療基盤の形成を目指している。 本年度の研究ではDok-7によるMuSK活性化能を後者の自己リン酸化で評価する系に加え、基質ペプチドのリン酸化能を評価する系を導入することで、MuSK変異体を含めた活性化機構の解析を可能にすることができた。また、Dok-7/MuSKシグナル系の新規関連分子の機能解析を培養細胞レベルで推進した。さらに、Dok-7/MuSKシグナル以外のNMJ形成機構については、Wnt系以外の未知のシグナル系の関与を示唆する結果を得ている。他方、我々が発見したLrp4抗体陽性重症筋無力症については、そのモデルマウスの作出が当初の予定通りに進行せず、作出法の大幅な変更の必要性が判明した。なお、先天性筋無力症の新たな原因遺伝子の探索においては、仏国Salpetriere病院のDaniel Hantai博士らとの共同研究により新規MuSK変異を発見し、その分子病態の解明を進めることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にも記載の通り、これまで実施してきた「MuSKキナーゼの自己リン酸化」によってその酵素活性を評価する解析系では、MuSK変異体を評価対象とする場合に、「基質としての被リン酸化能(リン酸化を受ける能力)の変化」が大きな障害となる。この点において、基質ペプチドのリン酸化による解析系の確立は本研究における重要な進展と言える。さらに、神経筋シナプスの形成・維持シグナルにDok-7/MuSKシグナルでは説明できない新たなシグナル伝達機構の存在を解明した点や、先天性筋無力症を惹起する新たなMuSK変異を発見した点は当初の計画以上の進展と考える。しかしながら、代表者らが世界に先駆けて発見したLrp4抗体陽性重症筋無力症のモデルマウスの作出には若干の遅れが生じているため、上記区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
Dok-7/MuSKシグナルについては、プロテオミクス等の解析に基づく研究を当初の計画に従いつつ、速やかに推進して行くと共に、新たに確立したin vitroでのMuSK活性評価系を用いた解析による加速を図る。また、新たに見出したDok-7/MuSK以外のNMJ形成・維持シグナルについても、その実体の解明を推進する。他方、重症筋無力症のモデルマウスの作出については本年度に得た正負両面の知見を活かし、より適切なモデルの作出を進め、また、その他の課題については、当初の計画に沿った研究を速やかに実施して行く。
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Research Products
(7 results)