2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23249013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山梨 裕司 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40202387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手塚 徹 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50312319)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 神経科学 |
Research Abstract |
神経筋シナプスは骨格筋収縮の制御に必須であり、その異常は筋無力症の原因となる。代表者らは、独自に発見した「アダプター分子Dok-7による受容体型キナーゼMuSKの筋管細胞内からの直接の活性化」と言う全く新しい分子機構が、神経筋シナプスの形成・維持シグナルの起点となることや、DOK7遺伝子の異常が先天性筋無力症(DOK7型筋無力症)の原因となることを発見し、Dok-7/MuSKシグナルが神経筋シナプスの形成と維持に必須であることを解明した。これらの成果を踏まえ、本研究は神経筋シナプスの形成・維持の根幹をなすDok-7依存的な骨格筋シグナル経路に加え、運動神経と骨格筋の緊密な連携を支える未同定のシグナル経路の詳細を解明し、その破綻による疾病の理解と診断・治療基盤の形成を目指している。 昨年度までの本研究ではDok-7によるMuSK活性化能を基質ペプチドのリン酸化レベルを指標に定量的に測定する系を確立し、また、Dok-7/MuSKシグナル以外のNMJ形成機構については、Wnt系以外の未知のシグナル系の関与を示唆する結果を得た。そこで、本年度の研究においては、前者の測定系にてDok-7内の各部分構造とMuSK活性化能の関連について明らかにした。また、後者については、その未知のシグナル系のひとつがNMJの出生後の維持に必要であることを示す結果を得ている。さらに、本年度の新たな研究として、MuSKの共受容体であるLrp4の会合分子としてシャペロン分子Mesdc2を同定し、それがLrp4の筋管細胞表面での機能に必須であることを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にも記載の通り、今年度は、Dok-7/MuSKシグナル以外のNMJ形成機構のひとつが、出生後のNMJの維持に必要である事を明らかにした。また、全く新しい知見として、シャペロン分子Mesdc2がLrp4の細胞表面での機能に必須であることを解明している。しかしながら、Dok-7によるMuSK活性化機構に関する研究には若干の遅れが生じているため、上記区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに見出した「出生後のNMJの維持に必要なシグナル系」については、その同定に必要な解析を着実に進めて行く。また、新規に同定したMesdc2については、そのLrp4制御機構の解明と共に、先天性筋無力症との関連についての研究をオックスフォード大学のDavid Beeson教授と共に進めて行く。また、その他の課題については、当初の計画に沿った研究を速やかに実施して行く。
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Research Products
(3 results)