2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内主要ATP分解酵素VCPの機能とその調節機構の解析
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23249016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
垣塚 彰 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80204329)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2014-03-31
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Keywords | VCP / ATPase / 阻害剤 / 繊維状構造物 / グルコース代謝 / 飢餓 / 緑内障 / 網膜色素変性症 |
Research Abstract |
ヒトは一日あたり体重に相当する重さのATPの合成と分解を行っており、ATPとATPaseは、生物(細胞)の活動になくてはならないものである。ATPaseの中で最も豊富に存在するのが、VCPと呼ばれるATPaseであるがその機能はよく解っていない。本研究では、VCPが果たす細胞・生体での生理機能及び神経変性を初めてとする病態での役割とその調節機構を解明することを目的とし、以下の諸点を明らかにした。 1)飢餓時でのVCPファイバー形成の役割・意義の解析:本研究では、培養細胞を飢餓時にすると形成されるVCPファイバーは細胞内のATPの消費を抑制することに加え、近接する細胞とネットワークを形成し、ATPのやりとりを行っていることを見いだした。即ち、ATPの減少した細胞に回りの細胞がVCPファイバーを有する構造物を介してATPを供給し、その細胞を救っていることが見いだされた。 2)ATP産生におけるVCPの役割の解析:VCPをノックダウンした細胞では、細胞外のグルコースを有効に利用できない。この時、グルコースの細胞内への取り込みの抑制が起こると同時に、解糖系からβ酸化へのスイッチが生じていることが示唆された。 3)ショウジョウバエのsiRNA発現ラインのスクリーニングで得られたラインの解析を行い、ポリグルタミンの蓄積時で見いだされるリン脂質の低下はVCPの核移行とは独立した事象であることを見いだした。 4)VCP阻害剤の疾患モデルでの効果の解析:我々の開発したVCP阻害剤の投与によって、緑内障および網膜色素変性症のモデルマウスの症状の進行が劇的に遅延することが判明した。したがって、VCP阻害剤は緑内障及び網膜色素変性症の治療薬のシーズとなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した実験をほぼ順調に遂行し、実験結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(H25)も予定した実験を順次遂行する予定であり、特に問題となる点は見いだされていない。
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