2012 Fiscal Year Annual Research Report
過栄養状態の肝臓が産生するタンパクと生活習慣病の関連
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23249042
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
金子 周一 金沢大学, 医学系, 教授 (60185923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篁 俊成 金沢大学, 医学系, 准教授 (00324111)
本多 政夫 金沢大学, 保健学系, 教授 (00272980)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2014-03-31
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Keywords | ゲノム / 発現制御 / 肝臓 / 栄養 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
本研究では、過剰に摂取される栄養による全身の影響、とくに、過栄養によって肝臓の機能が大きく障害されていることを、遺伝子・タンパク・脂質の系統的な解析から明らかにし、その病態を研究している。とりわけ糖代謝と脂質代謝、アミノ酸代謝、エネルギー代謝との関連を明らかにし、インスリン抵抗性を代表とする動脈硬化やがん化との関連を解析している。我々が明らかにした肝臓から産生される新規のタンパク(ヘパトカイン)であるセレノプロテインPの研究をすすめ、糖尿病の病態を悪化させる機序を解析している。 インスリン抵抗性の機序のひとつにERストレスとの関連を研究してきたが、そのERストレスを引き起こす機序についてさらに詳細に解析をすすめ、そこにはプロテアソームの機能異常があるという独創的な研究を行った(Diabetes 2013)。また、慢性肝障害にいたるとアミノ酸代謝が撹乱していること、同時に耐糖能異常が認められることが臨床的に明らかになっていた。そこで我々は分岐鎖アミノ酸が慢性肝障害患者の耐糖能異常において重要な役割を果たしていることを明らかにした(Metabolism 2012)。 我々がヘパトカインと命名したセレノプロテインPが肝臓のインスリン抵抗性を起こす機序を解明し(Cell Metabolism)、本研究により脂肪組織との関連を明らかにした(Pros one 2012)が、本年度は加えて筋組織に及ぼす影響を解析した。セレノプロテインPは肝臓から産生され、肝臓のインスリン抵抗性を引き起こすだけでなく、筋組織のインスリン抵抗性をきたすことを明らかにした。同時にセレノプロテインPと2型糖尿病患者における運動耐容能との関連を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりの研究を実行することができている。得られている成果も再現性が高く論文の発表もできている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画どおり、ヘパトカインであるセレノプロテインPの構造解析および機能解析をさらに進めたい。また、新規のヘパトカインの同定を行いたい。脂肪肝の意義について、動物モデル、臨床材料を進めていきたい。これらの研究計画に変更はない。
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Research Products
(8 results)