Research Abstract |
本研究では,生理的な構造を維持したタンパク(約19,000種類)を網羅的に搭載したプロテインアレイを用いて,自己免疫性神経疾患,傍腫瘍性神経疾患について,その病態に関与する抗体群を体系的に,網羅的に明らかにする.その結果,これらの疾患の発症に関与する新規の自己抗体を全て明らかにする.これらの成果に基づき,自己免疫性神経疾患,傍腫瘍性神経疾患について,症例毎に関与する病態機序を明らかにする.網羅的自己抗体プロファイリングに基づき,臨床試験として汎用性の高い新規プロテインアレイを構築し,これらの疾患に対して,格段に感度,特異性の高い診断法を確立するとともに,自己抗体プロファイルに基づき最適な治療法を確立することを目指している.まず,抗体介在性の機序が作用していると考えられる免疫性神経疾患について,詳細な臨床的検討を行い,自己免疫性神経疾患,.傍腫瘍性神経疾患の症例の蓄積,結成の蓄積を行った.これらの症例の中から,paraneoplastic cerebellar degenerationの9症例,抗体介在脳炎9症例,急性自律神経ニューロパチー1例,抗体介在筋炎1例を抽出した.このうち,paraneoplastic syndrome 9例については,抗Yo抗体陽性例である.約19,000種類のヒト完全長cDNAリソースを用いて小麦無細胞タンパク質合成系で,生理的な立体構造をとったタンパクを隣接する2ヶ所に搭載した新型タンパクアレイを(アクティブプロテインアレイ)作成した.この,新型プロテインアレイ(アクティブプロテインアレイ)を用いて,これら20症例について,網羅的な自己抗体プロファイリング解析を開始した.現在,網羅的な標的抗原の同定,個々の標的抗原に対する抗体価の測定を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に実施した20症例の自己抗体プロファイリングを進め,網羅的な抗原の同定を進めるとともに,抗体介在性の免疫性神経疾患の症例のさらなる集積を行い,プロテインアレイを用いた自己抗体プロフデイリングの解析例を増加させる.これまでの解析から,同一症例であっても複数の自己抗体が存在することがわかっており,疾患毎に特異的な自己抗体スペクトルを定めていく.
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