2012 Fiscal Year Annual Research Report
白血病発症の分子メカニズムの統合的解明:新たなカテゴリーの異常の同定と解析
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23249051
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北村 俊雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20282527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北浦 次郎 東京大学, 医科学研究所, 助教 (30282651)
中原 史雄 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80581181)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2014-03-31
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 発現制御 / 内科 / 遺伝子 |
Research Abstract |
マウス骨髄移植モデルを利用して白血病発症のメカニズムを解析した。 1)変異型EZH2、TET2、ASXL1を導入したマウス骨髄細胞を照射したマウスに移植すると骨髄異形成症候群(MDS)様の疾患を発症するが、一部のマウスは白血病へ移行することが判明した。またMDSを発症したマウスの骨髄細胞を移植すると移植マウスは白血病へ移行することも明らかになった。 2)Bcr-AblとHes1を過剰発現した骨髄細胞を移植したマウスは慢性骨髄性白血病の急性転化(CML-BC)モデルとなることを以前報告した。最近、発現解析を利用してHes1過剰発現の下流でMMP9やCXCL1などの遺伝子発現が高くなることを明らかにした。実際、種々の細胞でHes1を過剰発現するとMMP9の発現が誘導されることが明らかになった。またMMP9の発現が高くなるとc-kitリガンドがプロセスされ細胞上清に放出され白血病細胞の増殖を誘導することを明らかにした。一方、MMP9をノックアウトした造血細胞にBcr-AblとHes1を導入して移植するとCML-BCの発症が遅れることも明らかとなった。 3)FIP1L1-PDGFRAは好酸球性白血病あるいは突発性好酸球増多症の原因として知られている。マウス骨髄移植においてはFIP1L1-PDGFRA単独では骨髄増殖性疾患(MPN)あるいは胸腺腫を発症するが、白血病は発症しない。FIP1L1-PDGFRAを有する好酸球性白血病患者においてHes1が高い症例が存在したことから、FIP1L1-PDGFRA とHes1を同時に発現した骨髄細胞を移植したところ、好酸球性白血病を発症した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異型EZH2、TET2、ASXL1を導入したマウス骨髄細胞を移植したマウスの一部が白血病を発症することが判明し、今後白血病進展のメカニズムに興味が持たれる。 CML-BCモデルにおけるMMP9の役割については現在論文revise中である。今後、MMP9がCML-BCの進展に果たす分子機構を明らかにしたい。 Hes1の発現を様々な白血病患者で調べたところ、染色体転座によって生じるFIP1L1-PDGFRAを有する好酸球性白血病症例でHes1高値の症例が見つかった。FIP1L1-PDGFRAとHes1が協調して好酸球性白血病発症を誘導することが明らかになったのは偶然の産物とも言えるがそのメカニズムに興味が持たれる。この研究についても論文をまとめる段階に来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
さまざまなマウスBMTモデルにおいて複数の変異が協調して白血病発症を誘導することが明らかになった。この白血病に移行するメカニズムを解析するため、白血病に移行前後の細胞で発現解析を行なう。 またFIP1L1-PDGFRAを有する好酸球性白血病患者サンプルを集めることによってこれらの患者でHes1過剰発現が白血病発症の一般的な原因になっているのかを調べる。またCML-BC細胞や好酸球性白血病細胞でHes1発現が高くなる原因を調べる。
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Research Products
(24 results)