2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23249053
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
須田 年生 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60118453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田久保 圭誉 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50502788)
永松 剛 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70453545)
細川 健太郎 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (90569584)
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Keywords | 造血幹細胞 / 白血病幹細胞 / ニッチ / 活性酸素 / 低酸素 |
Research Abstract |
造血は、哺乳類においては骨髄で、魚類においては腎臓で営まれ、それは腎髄と呼ばれる。従来、造血の場は、腎臓の間質とされるだけで詳細な検索はなされていなかった。 1)魚類造血幹細胞マーカー遺伝子の探索 我々はゲノム情報が豊富なゼブラフィッシュを用いて腎臓SP細胞を分離し、マイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析を行った。SP細胞(造血幹細胞)とnon-SP細胞(造血前駆細胞や成熟血球など)とで発現データを比較し、SP細胞で発現増加の認められる遺伝子を約1,000個抽出した。次に、NCBIのデータベース上に登録されているヒトおよびマウス造血幹細胞のマイクロアレイデータを得て、3種の造血幹細胞で共通して発現増加している遺伝子を探索した。その結果、40個の共通発現増加遺伝子を抽出することに成功した。これらの遺伝子にはgata2、id1、egr1など造血幹細胞の機能に必須な遺伝子が含まれていた。これらの40個の遺伝子のうち、ゼブラフィッシュの腎臓SP細胞で特異的に発現しているjamla(junctional adhesion molecule la)に着目した。 (2)ゼブラフィッシュ造血幹細胞の可視化 jamlaの遺伝子制御領域の下流にEGFPを挿入したコンストラクトをゼブラフィッシュの胚にマイクロインジェクションし、安定的にGFPを発現するトランスジェニック系統(jamla:EGFP)を確立した。jamla:EGFPの腎臓においてフローサイトメトリー解析を行ったところ、GFP(+)細胞のうちの約15%がSP細胞と重複していた。次に、腎臓内のGFP(+)細胞の分布を観察したところ、GFP(+)細胞は腎臓内で両側性に分布する集合管の周囲に認められた。驚くべきことに、他の造血細胞の多くは腎臓の間質に認められたのに対し、GFP(+)細胞は集合管上皮において管腔側の上皮細胞間隙に入り込んでいることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
哺乳類における造血幹細胞ニッチ制御の研究は順調に進展しているが、この成果は、白血病幹細胞との関連で、本研究の後半にとりまとめて報告する。 さらに、昨年度は、ゼブラフィッシュ造血幹細胞とそのニッチの研究が急速に進展した。「造血幹細胞が上皮内に嵌入する」という全く新しい事実を発見した。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は、造血システムの基本形を有する魚類において、幹細胞およびそのニッチの研究を進め、哺乳類に敷衍する。 これをもとに、幹細胞の維持、老化、白血病化の気候を解析する。
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Research Products
(13 results)