2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23249053
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
須田 年生 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60118453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田久保 圭誉 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50502788)
永松 剛 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70453545)
細川 健太郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90569584)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / 白血病幹細胞 / ニッチ / 活性酸素 / 低酸素 / 炎症 / プロスタグランディン / ニッチ因子 |
Research Abstract |
造血幹細胞ニッチの研究として、炎症における造血幹細胞の動態を検討した。 (1)Prostaglandin E2(PGE2) i) PGE2の受容体EP4をノックダウンした造血幹/前駆細胞(LSK細胞)では移植後の骨髄再構築能が低下する一方、EP4アゴニストで前処理したLSK細胞が高い骨髄再構築能を獲得することを示し、PGE2/EP4シグナルが造血幹/前駆細胞に直接に作用し骨髄再構築能の向上に寄与することを明らかにした。ii) 間葉系前駆細胞が、PGE2刺激によってKitl、Fgf1、Angpt1、TnC、Has1といった造血幹/前駆細胞の維持や増殖に重要なニッチ関連因子を高発現するようになりLSK細胞のコロニー形成能に対する高い支持能を獲得することが明らかとなった。iii) マウスへの5-FU投与による骨髄抑制からの骨髄回復実験において、PGE2あるいはEP4アゴニスト投与によって、骨髄回復が促進されることが示され、これはPGE2あるいはEP4アゴニストの直接的/間接的な造血幹細胞への作用の結果と考えられた。(Blood, 2013 に発表) (2)cyclic-di-GMP (c-di-GMP)は、大腸菌やサルモネラ菌から産生される核酸で、この分子が造血幹細胞およびそのニッチにどのような影響を与えるかを検討した。 i) c-di-GMP投与により、マウス骨髄造血幹細胞は減少しその機能も低下した。一方、脾臓では、幹細胞の増加が認められた。これにより、幹細胞の骨髄からの移動が考えられた。ii) c-d-GMPの上記の効果は、STING欠失マウスでは見られなかった。iii) Angpt-1,Kitlのようなニッチ因子は、骨髄間葉系細胞で低下し、血管内皮細胞で増加していた。ゆえに、病原体由来のc-d-GMPは、幹細胞とニッチへの作用により、造血を変動させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以前より、炎症に伴う造血の変動(例えば、敗血症時の白血球減少など)が知られていたが、本研究により、炎症・細菌分子には造血幹・前駆細胞に対する作用とそのニッチに対する作用の両方があることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最近、PGE2による造血幹細胞の増幅、COX Inhibitorによる造血幹細胞の動員が報告されており、我々の研究もより、臨床的応用を目指したいと考えている。
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Research Products
(16 results)