2012 Fiscal Year Annual Research Report
術後および敗血症時の自然免疫機能低下に対する免疫強化療法の試み
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23249072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 芳嗣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30166748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 寛治 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60302709)
矢作 直樹 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60158045)
瀬戸 泰之 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00260498)
張 京浩 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50302708)
中島 勧 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40323597)
松原 全宏 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40361498)
森 和彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10436470)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | 重症感染症 / 免疫強化療法 / 敗血症 / サイトカイン / 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 / インターフェロンβ / バイオマーカー |
Research Abstract |
敗血症患者の予後を規定するバイオマーカーの検索:東京大学救急部・集中治療部の救急外来(ER)から救命ICUへ入院した、重症感染を持った患者の記録のうち、2011年の1年分を昨年度抽出し、入室当日から7日目の各種生体情報と予後との関連性を検討したが、ICU入室後28日以内死亡群10名と生存群42名の比較で、平均動脈圧、白血球数、血小板数、血清LDH値に有意差が認められ、単変量ロジスティック回帰でも、在院死亡のオッズ比が有意に高く、この4パラメータによる在院死亡の予測を行うと、ROCカーブのAUCが0.94と高い予測確率を示した。院外発生の敗血症では白血球数10,000/mcl以下が、在院死亡率をあげるため、積極的治療が予後改善につながる可能性が示唆された。 回盲部結紮穿孔(CLP)による、マウス敗血症モデルに対する治療的アプローチ:23年度に作成した敗血症モデル(5日間生存率0-20%)に対して多発性硬化症等で臨床使用されているインターフェロンβ(IFNβ)70万U/kgをCLP12時間後に投与すると、生存率を改善する結果を複数回のシリーズで確認した。引き続いて肺、心臓等の病理組織像評価、また血液中の炎症の評価を行ったが、これまでのところIFNβ群とコントロール群で、顕著な差は認められていない。敗血症では過剰炎症がそのメカニズムのすべてではないことが示唆された。末梢血白血球数はSham手術を行った群と比較して有意に少なく、また好中球の成熟マーカーであるLy6Gの発現量が低下しており、未熟な白血球が動員されていることが示唆された。生体防御能の低下が死亡と関連している可能性を考える必要がある。好中球表面上のCD11b発現量とそのGM-CSF刺激による発現量の上昇が敗血症マウスでは低下している可能性が示唆されており、免疫状態を見るバイオマーカーとしての可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vivoの実験の再現性のある結果を得るために多くの実験を必要としている。とくに一時期、動物の体調管理に非常に難渋した時期があり、結果の信憑性に疑問を感じる時期があった。当科で所有している動物飼育室の環境が隣接地域が工事対象となり、動物飼育環境が悪化していることも原因と考えられる。また敗血症患者の免疫機能を測定する観察的臨床研究は、後ろ向き研究である程度見るべきパラメータが確定してから開始を予定していたため、昨年度は開始出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
動物飼育施設は、25年度中に、防音、空調などの環境改善策を講じる予定である。マウスモデルでは、侵襲レベルを均一にすることが安定した実験系を維持する上での問題となっている。過去の報告から、早期の血清IL-6の値が予後を左右する因子となりうることから、経過中に採血を少量行って血清の炎症性因子を測定することも検討している。後ろ向きの臨床研究では、敗血症の予後予測因子をいくつか得ることができたので、これらがマウスモデルで、どのように関連するかを今後見る必要がある。外科手術術後患者を対象とした前向き観察研究はこれらの結果を踏まえて今年度にある程度の結果を出すよう、手続きを進行中である。
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Research Products
(13 results)