2011 Fiscal Year Annual Research Report
次世代質量分析による癌個別的ゼノグラフトの双方向的解析からの革新的診断治療シーズ
Project/Area Number |
23249073
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神波 大己 京都大学, 医学研究科, 講師 (20402836)
井上 貴博 京都大学, 医学研究科, 助教 (80511881)
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Keywords | 患者癌組織由来Xenograft / 前立腺癌 / 腎細胞癌 / 治療抵抗性 / 網羅的遺伝子解析 / 次世代質量分析 / 革新的診断・治療シーズ |
Research Abstract |
1.腎細胞癌における臨床検体由来Xenograftの樹立 腎細胞癌6症例の手術採取検体を免疫不全マウスの皮下に移植し、そのうち3系統で生着、安定的に継代可能となることを確認した。 2.腎細胞癌臨床検体由来XenograftへのSunitinib投与によるSunitinib抵抗性Xenograftモデルの作成 前述の3系統にSunitinibを投与、1系統では6か月以上奏功していたが、2系統で抵抗性となることを確認。治療前後および耐性群、コントロール群の組織および血液を採取した。 3.治療抵抗性獲得前後での腫瘍組織内mRNAの網羅的遺伝子解析 腎細胞癌Sunitinib抵抗性モデルにおいて、抵抗性群およびコントロール群における腫瘍を摘出し、腫瘍組織内RNAを抽出、Affymetrix Gene Array[○!R]を用いてマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行った。現在、結果解析中である。 4.嚢胞を形成する前立腺癌臨床検体由来Xenograftの嚢胞液および血清の質量分析 嚢胞を形成する前立腺癌臨床検体由来Xenograft(KUCaP3)の嚢胞液および血清の質量分析を3検体において行い、PSAの他、これまで前立腺癌および他癌種においてバイオマーカーとして知られている複数の分子がヒト由来タンパクとして同定されることを確認した。また、新規バイオマーカーとなりうる分子も同定されたため、現在、その前立腺癌における役割を機能解析中である。 5.去勢抵抗性のKUCaP3の樹立と、去勢抵抗性に伴う嚢胞液組成の変化の解析 KUCaP3を去勢し、腫瘍縮小後に再増殖をきたしたKUCaP3-CRを樹立した。KUCaP3-CRの嚢胞液および血清の質量分析を行い、アンドロゲン依存性のKUCaP3で検出された分子との比較を行った。現在、そのうちのいくつかの分子につき免疫染色法にて去勢抵抗性獲得の前後での発現を確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎細胞癌、前立腺癌ともに、患者癌組織由来Xenograftモデルの樹立が着実に進んでおり、系統数が増加している。また、これらに対する去勢抵抗性モデル、Sunitinib等の薬剤耐性モデルも作成できており、順次、解析を行っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
前立腺癌、腎癌ともに、網羅的遺伝子解析の結果から、候補分子を抽出し、その機能評価をおこなうことにより、治療抵抗性のメカニズムの解明を試みる。 また、次世代質量分析による高感度検出装置を用い、Xenograftおよび臨床検体の解析を行い、従来の網羅的解析ではとらえきれなかった微量なタンパク質の発現の変化などを探索し、治療抵抗性のメカニズムの別の角度からの解明を試みると同時に、新たな診断シーズの開発につながる分子の同定を試みる。 さらに、前立腺癌においては、正常人と前立腺癌患者の尿検体の質量分析を行い、PSAを補完しうる新たな尿中バイオマーカーの同定も行っていく予定である。
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Research Products
(5 results)