2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔消化管味覚センサーのシグナル調節・伝達機構の解明
Project/Area Number |
23249081
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二ノ宮 裕三 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50076048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重村 憲徳 九州大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (40336079)
實松 敬介 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70567502)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 口腔消化管味覚センサー / 食欲調節液性因子 / レプチン / エンドカンナビノイド / インクレチン / 遺伝子多型性 / 味覚感受性 |
Research Abstract |
本研究は、 1)食欲制御因子レプチンとエンドカンナビノイドの拮抗的味覚感受性調節機構、2)腸管内分泌細胞のそれら因子による感受性調節機構、3)味特異的神経伝達への消化管ホルモンの関与、4)甘味うま味受容体遺伝子の多型性と味覚感受性の連関、の解析を進めることによって、摂食・栄養吸収に協調して働く、口腔消化管味覚センサーのシグナル調節・伝達機構を解明することを目的とする。 本年度の計画研究により、1)T1r3発現味細胞の約40-60%がレプチン受容体Ob-Rbあるいはカンナビノイド受容体CB1を共発現し、かつOb-Rb発現細胞の約50-60%がCB1を共発現することから、それら因子の拮抗的甘味修飾は同一細胞で起こる可能性が示唆された。味細胞の甘味応答に対するレプチンの効果は、順応レプチン濃度が1-5ng/mlの範囲では起こるが、順応濃度が10ng/mlを越えると消失することが分かり、味細胞のレプチン抵抗性が10ng/ml付近であることが判明した。また、味蕾エンドカンナビノイド濃度の測定手法を確定した。2)マウス腸管内分泌細胞STC-1の甘味応答も、レプチンにより抑制され、エンドカンナビノイドにより増強されること、それら効果は受容体を介してもたらされることも分かった。3)甘味特異的応答を示す鼓索神経線維では、GLP-1の血中投与により応答を起こすことが判明した。4)うま味受容体成分T1r1の既知の遺伝子多型以外に新たに2つのアミノ酸変異が確認され、そのうちの一つはうま味閾値の低下と連関する可能性が示唆された。また、フランス人の7%でうま味感受性の低下をもたらす遺伝子多型が日本人380名の中には存在しないことが分かり、新たな人種差の存在の可能性が示唆された。以上、本研究は計画通りの進捗を得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4中課題は共に、おおむね計画どおりに展開しており、予想された成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
特にない。計画どおりに進める予定である。
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Research Products
(35 results)