2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔組織特異的免疫応答と免疫寛容の制御メカニズムの解明
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23249082
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東 みゆき 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90255654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 建州 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80435635)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 免疫学 / 歯学 / 口腔粘膜 / 舌下免疫療法 / 歯周病 / 歯髄炎 |
Research Abstract |
(サブテーマ1)舌下粘膜にFITCあるいはOVA塗布後の舌下粘膜における樹状細胞の分布と動態を免疫組織学的に検索した結果、頬粘膜への抗原塗布と違い、舌下粘膜レジデント樹状細胞は、もともとの分布数が少なく、抗原塗布後早期に枯渇し,反復抗原塗布により,形態学的に樹状細胞よりマクロファージに近い単球様 CD11b+ MHC class II+細胞が主に粘膜固有層に浸潤することが確認できた.寛容誘導に関わるこれらの細胞の機能について検討中である.(サブテーマ2)アジュバントを使用せずスギ花粉粒を用いたマウス花粉症モデルの樹立に成功した.また,花粉エキスを使用した舌下免疫療法をマウスモデルで実施し,症状を抑制することができ,種々の免疫学的因子がどのように変化するかも捉えることができた. Th1および Th2応答の抑制が観察されたが,ヒト臨床試験で認められている制御性 T細胞比率の増加は認められなかった.また,舌下粘膜経由での抗原塗布を粘膜アジュバントとしてコレラトキシン (CT) を使用すると, PD-1依存性の抗原特異的 CD4+ T細胞応答の抑制が認められることから, PD-1依存性の Co-stimulationが関与していることが示唆された.(サブテーマ3)高病原性 Pg 菌株を用いたマウス歯周炎・歯周病モデルでは,歯肉上皮角化細胞に B7-H1を強発現しているトランスジェニックマウスでは,歯肉炎・歯周病の抑制が認められた.(サブテーマ4)マウス咬頭切削後に、所属リンパ節に遊走する樹状細胞・マクロファージ様細胞候補を,切削前後の比率変化から同定を試みてきたが,微小集団であるために,これを直接確認するために,Kaede トランスジェニックマウスを使用して,臼歯への光照射後に, Kaede-Red を発現し,所属リンパ節に遊走する細胞を捉える条件検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
サブテーマ1および2については,当初の計画以上に進展している.特に,マウス花粉症モデルの樹立や舌下粘膜療法モデルの樹立が順調に進み,各分子を標的とした研究への展開が可能となった.サブテーマ3については,モデルの立ち上げや評価系の樹立に,予定より時間がかかってしまったが,問題点はクリアできたので,今後は順調にいくと思われる.サブテーマ4に関しても,共同研究の開始により,特殊なマウスを使用してのイメージング解析が可能となったので,予定通り遂行可能と思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの成果を3報の論文として発表する予定で,現在執筆中である.サブテーマ1に関連しては,反復抗原塗布後に,舌下粘膜に特徴的にリクルートする樹状細胞の機能的特徴について明確にする.サブテーマ2の 本来抑制分子とされている PD-1による免疫強化については,そのリガンドの関与と制御性T細胞の関与について明らかにしていく.サブテーマ3に関しては, PD-1:B7-H1経路の歯肉炎症における役割を,自然免疫による炎症と T 細胞による骨吸収制御の2点に分けて解析をし,それらの関与を明確にし,論文を完成させる.サブテーマ4に関しては,歯髄樹状細胞を単離し,その機能をみるということまでは,達成できないかと思うが,イメジングシステムの応用により,歯髄から所属リンパ節に遊走する細胞を同定する.
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Research Products
(14 results)