2012 Fiscal Year Annual Research Report
独自開発ウイルス成分とのハイブリッドリポソームによる癌の新規分子標的治療薬の開発
Project/Area Number |
23249084
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
丹沢 秀樹 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50236775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白澤 浩 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00216194)
齋藤 謙悟 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70451755)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リポソーム / 腫瘍特異的 / 分子標的薬 |
Research Abstract |
本研究は、抗癌剤単剤投与法に比較して、新規治療法-1群(耐性遺伝子発現阻害物質や治療増強剤と抗癌剤を併用投与)群と新規治療法-2群(耐性遺伝子発現阻害物質や治療増強剤とともに抗癌剤をハイブリッド型リポソームに搭載して投与)における抗癌効果を最大限にする条件を求め、新規治療法を開発することを目的とする。昨年度開発したPDE3阻害剤を含有させたシンドビス(SIN)蛋白ハイブリッドリポソームは、脂質膜からシロスタゾールの漏洩する問題点が判明した。そのため、今年度は、リポソームの硬度を上げるために、組成をDPPCとコレステロールに変更し、再度各PDE3B阻害剤(シロスタゾール、ミルリノンに加え、アムリノン、エノキシモン)を内封したところ、in vitroで最も効果を示したリポソームはシロスタゾールを脂質内へ内封したものであった。同リポソームは新規治療法2において、抗癌剤単独投与対して約20%の有意な抗腫瘍効果があった。これに対し、新規治療法1は約5%の増強効果であった。次に、in vivoで、抗癌剤耐性株を担癌したヌードマウスに対するシロスタゾール含有SINハイブリッドリポソームの効果を検討した。まず、安全な投与量と投与方法を検討した。今回使用したマウス(BALB-c、6週齢、20g)に対し、安全な脂質量は1回投与時において最大総脂質量が0.4mgであった。これは調整したリポソーム溶液の100μlに相当し、シロスタゾールの1回投与量は10μgとなった。シスプラチンの投与量は100μgとした。投与方法は、1回投与のみ、週2回、週1回、2週に1回で検討した。週1回と2週に1回投与は新規治療法-2群で効果があったが週1回では3週目から体重減があった。週2回は2週目で副作用が強く現れ中止し、1回投与のみ群は効果がなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年に引き続き、腫瘍特異的蛋白が付与できる組成のリポソームをさらに改良して、抗癌剤や耐性遺伝子阻害剤など薬剤の内封率を向上させながら実験を進めることができた(この点は非常に苦労した)。さらに、抗癌効果の増強をin vivoで確認できた。放射線耐性に関しては、実際に人体に投与されている薬剤の中からcox2阻害剤を用いて、昨年はin vitroで効果を確認したものを、in vivoにおいて投与条件の検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はリポソームへの薬剤内封性を向上させるのに加え、投与条件によりin vivoで効果増強を得られる治療法を開発する。昨年同様に、条件を変える毎にマウスでの毒性試験も行い、前臨床試験まで終了させたい。放射線治療の効果増強法に関しては、治療増剤の候補をスクリーニングするため、人体に投与されている治療薬だけではなく、遺伝子や実験用の試薬を用いて治療法を開発していた。しかし、今年度は主に、すでに人体に投与され治療薬として用いられている薬剤を用いた治療法で、より効果の高い治療条件をin vitroで検討し、最終年度である平成25年度には実際の臨床応用を目指した新規治療法を前臨床試験まで終了させる予定である。
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