2012 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者への「ナラティブ睡眠ケア」の創設と普及推進のための看護プログラムの開発
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23249092
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松田 ひとみ 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80173847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 展彰 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10251068)
柳 久子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10241811)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高齢者 / 会話満足 / 睡眠の質 / うつ状態 / ナラティブ・ケア / 自殺予防 |
Research Abstract |
今年度は、前年度に高齢者のタイプ別にナラティブケアを午後に2回導入した。睡眠。休息と活動および自律神経系の変動について生理学的評価とQOLを測定した。対象は、国内では関東地区や沖縄県の活動的な高齢者と特定高齢者の各30名とした。その結果、高血圧の高齢者において、睡眠効率の高さと満足感の不一致がみられた点に注目した。自律神経系の解析と活動量計のデータを照合すると、深夜帯では、交感神経が有意に高くなる場合に、睡眠満足感、熟睡感が低下することが明らかとなった。また、ナラティブケアについては、楽しい会話を5分間実施した効果が顕著に表れ、昼間及び夜間共に有効であると考えられた。さらに、日記などの記載は、夜間に行うことで交感神経を高め、寝つきに悪影響を及ぼすことがわかった。これらの状況から、楽しい会話の内容を分類する必要性が見出された。 次いで、台湾とフィリピンの高齢者の睡眠と生活リズムおよび楽しい会話の実態をアンケートで調査した。3各国を比較したが、日本高齢者に比べて、フィリピンや台湾においてうつ状態の傾向が捉えられた。また、台湾の高齢者の自殺率の高さから、睡眠の質を向上させる対策が求められていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大の焦点であるナラティブ・ケアと睡眠の質との関係では、その有用性が検証されつつあり、着実に成果を見出しているといえる。また、当初は予定していなかった自殺率の高い国々との比較を行い、家族関係や人間関係を捉える必要性が、コミュニケーションや楽しい会話をキーワーズに明らかになりつつつある。次年度はさらにこのような広域的な観点で、ナラティブ・ケアの価値を検証するための具体的な課題が見出せた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、睡眠効率低群の高齢者を対象に、ナラティブ・ケアの効果を具体的に検証する予定である。活動量計及び自律神経系の測定に基づいて介入研究を行う。ナラティ睡眠ケアモデルの作成をめざしていく。具体的には、介入プログラムとして夕食後に刺激物を空けるなどの条件設定を行い、就寝の15分前に楽しい思い出を語る(5分)を実施する。このプログラムのコントロール群として、音読(5分)を行う。これらの比較において、楽しい会話の意義を検証する。また、台湾、フィリピンの高齢者の前年度調査の結果から、睡眠効率低群のものに対して、楽しい会話の介入を行い、睡眠の質を評価する。このような状況から、概ね良好に進展しているため、研究遂行上の問題点は特にない。
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