2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける結婚・離婚移住ネットワークの多方向性と還流性に関する実証研究
Project/Area Number |
23251006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
石井 香世子 名古屋商科大学, 経済学部, 准教授 (50367679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥島 美夏 天理大学, 国際学部, 准教授 (10337751)
嘉本 伊都子 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (50340443)
岩井 美佐紀 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (80316819)
工藤 正子 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (80447458)
床呂 郁哉 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (90272476)
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Keywords | 移民 / 越境移住者 / 国際結婚 / 国際離婚 / 結婚移動 / 移住ネットワーク |
Research Abstract |
科研費研究初年度となる本年度は、研究会の実施(年4回、うち1回は国際ワークショップ形式)と、メンバー各自によるフィールド調査(8カ国)の実施が主な研究内容となった。調査は、タイ、フィリピン、ベトナム、インドネシア、マレーシア、中国都市部(上海)、中国農村部(黒竜江省)、日本であった。 またこの調査実施と併せて、本年度は4回の研究会を実施し、各自の研究と全体成果との一貫性の確保へ向けた調整・すり合わせを行った。本年度4回の研究会のうち第1回・第2回は共同研究メンバーによる進捗状況の報告と、共同研究グループ外からスピーカーを招いての研究視座へのインプットを行った。第3回研究会は海外からの共同研究メンバーを招いての国際ワークショップ形式とし、共同研究メンバーの協力により在日外国人研究者らの参加も得て、共同研究の方向性へ更なるインプットを得た。第4回研究会は「日本・台湾における日台越境的な移住者の言語・文化・アイデンティティーをめぐって-」研究会との共同研究会として実施し、参加メンバーはそれぞれに新たな知見を得た。これら4回の研究会(と前年度中の3回の研究会を通して)、全ての研究メンバーが各自の研究の方向性とフィールド調査の進捗状況を研究会の場で発表し、何らかのコメントを得たことになる。これを通じて、研究メンバー各自が他のメンバーの研究視座や手法を理解し、自分自身の研究への刺激を得るとともに、すり合わせの方向性を考える契機を得た意義は大きい。 また、第3回・第4回研究会における海外メンバーとの交流や他研究会との共同開催を通じて、送出しコミュニティをもともとの調査地とするメンバーが、受入れコミュニティを調査地とする研究者と調査協力の機会を得るなど、更なる拡がりが確保できた点も、本年度に実施した研究会の大きな意義だと言えよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
10名のメンバー全員が、誰も脱落することなく予定に沿ってフィールド調査を進めることができた。また研究会も、予定の3回を超える回数を実施することができた。研究会へのメンバーの出席率も悪くなく、おおむね順調に進展していると言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、各自のフィールド調査をさらに進めるとともに、その成果を研究会と国際シンポジウムでの発表機会を設けるなかで共有していく。これを通じて最終成果として東・東南アジア域内における結婚・離婚"移動"の傾向を描き出し、その過程を通じて人類学的な新たな知見を提示することを目指す。本年度は各国のフィールド調査の事例を3つのグループに分けてつなぎ合わせ。もしくは照らし合わせ、(1)結婚・離婚移動の双方向性、(2)結婚・離婚移動の多方向性、(3)結婚・離婚移動の連鎖性の3つを現象として俯瞰することを目指す。その過程を通じて、(1)ローカル社会の変質、(2)ローカル社会とグローバル社会との関係性の再考、(3)アジアの人口動態がローカル社会に与える影響等、人類学的な新たな知見の提示を目指す。 これらの研究成果を共同研究プロジェクトの結果としてとりまとめるため、11月に国際シンポジウムを開催して発表し、さらにその結果を1月までにとりまとめて、2013年度中に(別途出版助成に申請して)書籍"Marriage/Divorce Migration Network in Pacific Asia(仮題)"としての出版を目指す。
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