2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23251010
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小田 淳一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (10177230)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深澤 秀夫 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (10183922)
杉本 星子 京都文教大学, 総合社会学部, 教授 (70298743)
森山 工 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70264926)
花渕 馨也 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (50323910)
飯田 卓 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 准教授 (30332191)
|
Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2016-03-31
|
Keywords | 文学一般 / 民族学 / インド洋西域 / 民話 / 国際研究者交流 / マダガスカル / セーシェル / コモロ |
Research Abstract |
1.インド洋西域島嶼部及び関連地域における参与調査:本年度は次の各地域で採話及び資料収集を行った。(1)マダガスカル:北西部においてツィミヘティ族の人々によるマダガスカル民話。(2)モーリシャス:インド系住民によるボージュプリー語及びタミール語の民話。(3)セーシェル:国立文書館所蔵未刊行民話テキスト(タイプ原稿)のうち,昨年撮影したものが不鮮明な画像の再撮影。 2.採話テキストの処理:前年度に引き続き,採取した民話・伝承及びライフヒストリーについて,それらの音源を各個別言語による文字テキストに書き起こす作業,また当該地域の公用語であるフランス語への翻訳を行い,web上でそれらの日本語訳及び,公開許諾が取れたものについては音源を公開した(URLは本報告書「15. 備考」欄に掲載)。尚,セーシェル民話については,上記の国立文書館所蔵未刊行民話テキストのうち32編を,セーシェル・クレオル語と日本語の対訳形式によって刊行すると共に,コモロ民話の刊行準備として,掲載する民話の選定作業を開始した。 3.モティーフ索引データベース等の構築作業:民話・伝承の比較に際して分析単位となるモティーフ群の抽出及び,当該地域の民話・伝承についての書誌データベースの入力を継続して行った。 4.類話の伝播,異同の分析:前年度の国際シンポジウムで行ったコモロ民話に関する報告を刊行すると共に,補完的な分析を人工知能学会全国大会で報告した。また,コモロ民話の国際的な研究者であるサリム・ハテュブ氏を招聘して講演会を開催し,併せて,次年度に予定している民話集の刊行についての打ち合わせ作業を氏と共に行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は,第一年目より現地において民話・伝承の採話を行ってきたが,今年度は,代表者小田によって既にセーシェル共和国観光・文化省から複写・翻訳・刊行の許諾を受けた民話テキストのうち32編を収録した対訳形式のセーシェル民話集を刊行することが出来た。また,セーシェル民話の第2巻及び他地域の民話集を刊行するための準備作業を開始した。各言語の民話について,刊行する候補として準備が出来たものは次の通りである:コモロ民話約90話,モーリシャス民話約40話(ボージュプリー語約30話,タミル語約10話),マダガスカル民話約30話,セーシェル民話約70話。 また,これらの採話と併行して,調査をスムースに行うために,現地の所轄官庁,研究機関や研究者との協力関係構築を図ってきたが,今年度はそれが効を奏し,例えば,研究分担者杉本はモーリシャスにおいて,マハトマ・ガンジー・インスティテュート学長やモーリシャス共和国文化芸術大臣と面談して本研究課題の成果出版への協力依頼を行って快諾を得た。更に,コモロ民話の専門家であるサリム・ハテュブ氏を招聘して東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所で行った講演会が,コモロ最初の新聞Al-Watwanのネット版で取り上げられるなど,調査対象地域において本研究課題の活動が広く認知され,当該地域での文化的な協力関係における日本のプレゼンスを高めることが出来たことは,達成度のひとつの指標となり得るものであろう。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの年度と同様,採話した民話・伝承を対訳形式で刊行する予定であり,更に,調査地域の幾つかの国の研究者や機関から,本研究課題によって刊行される民話集を,現地における文化や言語に関わる研究や教育に利用したい旨の依頼もあることから,民話や伝承が語られる現地語以外の公用語への訳を含めた三言語対訳についてその形式を検討していく。また,民話集の刊行を優先させるために,モティーフの抽出作業は若干遅れるが,最終年度に出来るだけ多くのモティーフをスティス・トンプソンの索引体系に組み入れつつ,モティーフとその連鎖構造を連動させたデータベースを作成し,様々な検索結果によるシークエンス分析に基づいて,民話自動生成プロセスのモデル構築とその検証作業を行う。
|
Research Products
(12 results)