2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23251010
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小田 淳一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (10177230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深澤 秀夫 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (10183922)
杉本 星子 京都文教大学, 総合社会学部, 教授 (70298743)
森山 工 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70264926)
花渕 馨也 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (50323910)
飯田 卓 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 准教授 (30332191)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / マダガスカル / セーシェル / コモロ / 文学一般 / 民族学 / インド洋西域 / 民話 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.インド洋西域島嶼部及び関連地域における参与調査:本年度は次の各地域で採話及び資料収集を行った。(1)マダガスカル:北西部・ツィミヘティ族の民話及び,南部・ヴェズの漁撈民の民話。(2)モーリシャス:インド系住民によるボージュプリー語の民話。(3)セーシェル:国立文書館所蔵未刊行民話テキスト(タイプ原稿)のうち,約30編について現地協力者と内容の確認を行った。 2.採話テキストの処理:前年度に引き続き,採取した民話・伝承及びライフヒストリーについて,それらの音源を各個別言語によるテキストに書き起こす作業,また当該地域の公用語であるフランス語への翻訳を行い,web上でそれらの日本語訳を公開した(URLは本報告書「15. 備考」欄に掲載)。次いで,民話集4点を刊行した:セーシェル(28編),コモロ(ンガジジャ島方言38編,ムワリ島方言16編),マダガスカル(22編)。 3.モティーフ索引データベース等の構築作業:民話・伝承の比較に際して分析単位となるモティーフ群の抽出及び,当該地域の民話・伝承についての書誌データベースの入力を継続して行った。 4.類話の伝播,異同の分析:人工知能学会全国大会において報告を行い,また代表者小田が所属機関の広報誌『フィールド・プラス』にプロジェクトの紹介記事を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の第一の目的はインド洋西域島嶼地域において民話・伝承を採話し,それらを対訳形式で刊行することであるが,本年度はセーシェル1点,マダガスカル1点,コモロ2点の民話集を刊行した。当該地域では,ひとつの研究組織が実質的に3年間余りでオリジナルテキストをすべて現地で採取し,それらを対訳形式で刊行した例(前年度と合わせて計5点)は今まで海外でも例がなく,さらに次年度に向けて,2点あるいは3点の民話集の刊行準備を本年度中に着手している。なお,すべての民話集は現地の研究者や公的機関との共同編集であり,文化的交流が余りない日本の研究者が島嶼群で精力的に採話を行っていることが当該地域では話題となっており,就中セーシェル民話第1巻は,セーシェル共和国観光・文化省より,セーシェル文化の普及に貢献したとして表彰を受けた。このように,地元で失われつつある伝統文化の保存に日本の研究組織が貢献していることは,特に国際学術交流の点で達成度の目安となるものである。一方,民話集の刊行に多くの時間を割いたためにモティーフの抽出作業は若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの年度と同様,採話した民話・伝承の対訳形式による刊行を継続すると共に(マダガスカル民話集第2巻とボージュプリー語によるモーリシャス民話集の2点は確定している),分析の結果得られた知見を学会等で報告する。民話の自動生成によって試験的に作成したモティーフ連鎖を刺激とする心理実験は,現地(マルセイユのコモロ移民居住区)の協力者(本研究課題で刊行したコモロ民話集の共編者でもあるサリム・ハテュブ氏)が年度初めに急逝したため,書面によるアンケート方式に切り替える予定である。また,当初レユニオンで開催を予定していた国際シンポジウムについては,現地の担当者(レユニオン大学のユ=シオン・リヴ氏)が,フランス国立科学研究センター(パリ)との併任となり,開催予定時期に不在のため,シンポジウムの代わりとして,レユニオン大学発行のインド洋文化に関する国際学術雑誌KABAROに本研究課題の成果を論考として投稿する予定である。
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Research Products
(11 results)