2011 Fiscal Year Annual Research Report
漢字文化圏における典籍の集積、国際的伝播及びその伝承に関する実証的研究
Project/Area Number |
23251011
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石塚 晴通 北海道大学, 名誉教授 (10002289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 証壽 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20176093)
豊島 正之 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (10180192)
赤尾 榮慶 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部, 上席研究員 (20175764)
大槻 信 京都大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (60291994)
落合 俊典 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (10123431)
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Keywords | 楊守敬旧蔵本 / 敦煌本 / 正倉院本 / 高山寺本 / 典籍交流 / 紙質の工学的分析 / 隣蘇園蔵書目録 / 聖語蔵 |
Research Abstract |
漢字文化圏の典籍には、元は一体を成していた典籍資料体が、一旦離散して分蔵され、更に後日再集積される例が少なくない。既に申請者らが一定程度解明し得たものに、日本高山寺旧蔵書及び楊守敬旧蔵書があり、更になお多くの研究を要する正倉院本及び敦煌本がある。本研究では、過年度作成の楊守敬旧蔵書『隣蘇園蔵書目録』データベースの増補・拡張を基礎として、楊守敬本の伝播を組織的に跡づけ、その過程で、従来の書誌学的手法に加えて紙質・墨の組成等の調査への工学(光学的非破壊分析)手法の適用も洗練し、その成果を敦煌本及び正倉院本に拡張して、典籍の集積・国際的伝播及び伝承の過程の一般原理としての記述を進め、文献史学・書誌学・アーカイブズ科学に新たなパースペクティブを与える事を目指す。 当初の研究計画に従って研究を行い、以下の成果を得た。 1.中国蔵楊守敬旧蔵本の調査 天津、北京、西安、上海に於て、公的機関及び個人蔵の楊守敬旧蔵本に関する情報を蒐集した。 2.台湾蔵楊守敬旧蔵本の調査 故宮博物院及び国家図書館に於て、楊守敬旧蔵本の原本調査を行った。 3.楊守敬旧蔵本調査結果のデータベース化 調査に基づきデータベース化を進めた。 4.敦煌経の調査 大英図書館、フランス国立図書館に於て原本調査、及び公開画像に基く調査を行った。 5.正倉院聖語蔵経の調査 奈良国立博物館、京都国立博物館に於て原本調査、及びCD・DVDに基く調査を行った。 6.敦煌経・正倉院旧蔵本の工学的分析 京都国立博物館、大英図書館、フランス国立図書館に於て実施し、画期的成果を上げた。 7.研究成果の発表 東京外国語大学に於ける国際シンポジウムに於て研究成果を公表し、後掲の論文で成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従って、海外所蔵の楊守敬旧蔵本の調査を行ってデータベース化し、海外所蔵の敦煌本調査を行い、正倉院聖語蔵経調査も行い、併せて敦煌本・正倉院聖語蔵経の工学的分析も実施し、研究成果公表の国際会議・国内会議も開催したので、予定通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究が順調に進展たので、次年度以降も当初の研究計画に従って研究を推進する。
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