2011 Fiscal Year Annual Research Report
少子高齢化時代におけるニーズ対応型・市民参加型福祉システムに関する国際比較研究
Project/Area Number |
23252005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
手嶋 豊 神戸大学, 法学研究科, 教授 (90197781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻庭 涼子 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (20362808)
浦野 由紀子 神戸大学, 法学研究科, 教授 (70309417)
飯田 文雄 神戸大学, 法学研究科, 教授 (70184356)
曽我 謙吾 神戸大学, 法学研究科, 教授 (60261947)
安井 宏樹 神戸大学, 法学研究科, 教授 (60396695)
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Keywords | 福祉政策 / 少子高齢化 / 市民参加 / 医事法 / NPO |
Research Abstract |
本研究は、1980年代後半以降における先進国の福祉システムの特徴を、「ニーズ対応・市民参加」型福祉ととらえた上で、その中長期的な質向上と持続的発展に資する総合的な研究を行うことを目指すものである。具体的に本年度は、まず研究全体の分析枠組みを確立するために、現代福祉理論の先行研究分析、及び、ニーズ対応・市民参加型福祉システムの形成過程に関連する、以下の研究を行った。 (1)ゲーム理論・合理的選択論やリベラル平等主義、ソーシャル・キャピタル論等、近年の福祉理論の先行研究を多面的に分析した。その結果、(1)従来の福祉研究において支配的な地位を占めてきたゲーム理論・合理的選択論に関しては、その過度の個人主義的性格が批判されつつあること、(2)リベラル平等主義以下の代替理論の差異は、福祉を基礎付ける市民相互間の政治的連帯の説明を巡る差異に帰着させることが可能であること、等の知見が明らかになった。 (2)ニーズ対応・市民参加型福祉システムの形成期に当たる1980年代後半から90年代後半までに、北米・ヨーロッパ・日本で生じた福祉改革の具体的経緯とその諸要因を分析した。その結果、本研究では、(1)各国では、医療・年金・介護という高齢者福祉の主要三分野において、ニーズ対応型福祉改革が構想・検討された場合が多いが、各改革構想の規模の大きさや改革構想の実現速度に関しては、各国の政治文化や政党間競争に依存した多様性が見られること、(2)ニーズ対応型福祉改革が、新しい市民参加型福祉システムの形成に直結するか否かは、例えば教会を母体とした相互扶助組織等、各国において福祉を担う非国家的主体・制度がどの程度発達してきたか等の歴史的諸要因にも強く依存すること、等の知見が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本語での研究論文の公表や学会報告が当初の予定通り相当数行われており、更に外国語での研究報告や一般向け講演会での成果公表も当初の予定以上に順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、当初の計画に従い、新しい福祉システム下での自己決定の限界や福祉システムの持続可能性、更には、福祉システムの再編成を巡る諸問題を順次考察する予定である。そのために、国内外での調査を続行すると同時に、海外共同研究者を日本に招聘し、内外学会での研究報告や学術雑誌への投稿、更には、研究の最終的な成果である外国語書籍の刊行に向けた原稿作成作業を順次進める予定である。
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Research Products
(23 results)