2012 Fiscal Year Annual Research Report
サブサハラ・アフリカにおける緑の革命の進展と貧困削減:パネルデータによる政策評価
Project/Area Number |
23252007
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
櫻井 武司 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40343769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加治佐 敬 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (50377131)
木島 陽子 筑波大学, システム情報工学研究科, 准教授 (70401718)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海外学術調査 / サブサハラ・アフリカ / 稲作 / 緑の革命 / 貧困削減 / パネルデータ / 技術普及 / 垂直統合 |
Research Abstract |
ナイジェリア:平成24年度は、水稲作農家の家計調査を実施した。ナイジェリアでは稲作農家レベルの詳細なデータが整備されていないため、稲作拡大におけるボトルネックが明らかでない。本調査では、通常の農家家計調査に加えて、収穫後処理や流通業者の稲作生産拡大に果たす役割にも焦点をあてている。平成25年度には分析に着手する。 ウガンダ:平成24年度は、今まで収集したデータを使用し、低湿地へのアクセスのある水稲栽培が可能な地域において、どのような要因が栽培技術の採用に影響するかを計量分析した。コメ生産のための土地が不足していないため(つまり相対的に労働力が不足しているため)、労働集約的な栽培技術が採用されていないことが明らかになった。 モザンビーク:天水地域と灌漑地域の発展経路の比較をした。その結果、どちらの地域でも、労働力の不足から非効率にコメが生産されていることが示唆された。灌漑地域特では、信用制約から肥料投入が不足気味である。一方で、天水地域では、まずは土地基盤なしでは肥料などの近代的投入財の効果が現れないことが、それらの財の未使用を引き起こしている。 タンザニア:平成24年度には第2回農家家計調査を実施しパネルデータが完成した。このパネルデータは、先進的な灌漑地域での小詳細なデータ収集であり、新技術の技術普及についてどのようなネットワークが有効か、またマイクロクレジットの供与が化学肥料の利用を増やすかなどの分析が可能となる。 ケニア:平成24年度には、平成23年度に実施した陸稲種子販売実験の結果を分析し、平成21-平成22年に発生した旱魃が一般の農家の種子購入する意欲を低下させていることを明らかにした。他方、灌漑施設を保有する農家には陸稲栽培の意欲が高く、灌漑組合の内部で情報交換が盛んなことがわかったので、平成24年度には灌漑組合を対象に家計調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では可能性の指摘にとどまっていたナイジェリアとマダガスカルで家計調査を実施することができたことは、計画以上に進展しているといえる。他方で、ガーナとセネガルについては、家計調査の実施に遅れが生じている。したがって、全体としては、サブサハラ・アフリカの各地でパネルデータの作成が進んでおり、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
パネルデータの構築は順調に進捗しているので、今後は分析と論文への取りまとめに力を入れる必要がある。研究計画を変更する必要は認めないものの、膨大なデータを整理し、さらに論文執筆を進めるためには研究補助者や研究協力者の増員が必要となると考えられる。
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Research Products
(14 results)