2011 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯林における球果植物優占のメカニズム:生活史・水分生理・土壌栄養
Project/Area Number |
23255003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
相場 慎一郎 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 准教授 (60322319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武生 雅明 東京農業大学, 地域環境学部, 准教授 (00366410)
宮本 和樹 森林総合研究所, 四国支所, 研究員 (60353877)
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Keywords | 植物生態 / 裸子植物 / 森林構造 |
Research Abstract |
本研究は、生活史・水分生理・土壌栄養という観点から、球果類樹木が熱帯林において広葉樹との競争に打ち勝って優占するメカニズムを明らかにすることを目的とする。本年度は、生活史についての研究基盤を整えることと、球果類が優占する森林の構造の特徴を明らかにすることを優先課題として研究をおこなった。キナバル山の調査区では設定から16年目にあたる再測定をおこなった。これにより16年間の個体群動態の解析が可能となった。また、一部の調査区を拡張して0.25haとし、他の調査区と比較可能な観測体制を整えた。ナバワンでは既存の小面積調査区を拡張するとともに、気象ステーションを設置し、水分生理の研究に必要な気象データ観測を開始した。さらに、熱帯の球果類樹木の特性を、森林の生産量や生産構造の比較によって明らかにするため、鹿児島県屋久島の球果類樹木(スギ科・マツ科)が出現する温帯林についても、落葉落枝量や森林構造の調査をおこなった。特に、キナバル山と屋久島の球果類樹木が優占する森林と広葉樹林について、森林構造をレーザー測距機により調査し、球果類樹木が優占する森林の構造的特性を明らかにし、その成果を学会で報告した。サバ州南部のマリアウ盆地の森林を視察し、ナンヨウスギ科のAgathisとマキ科のDaclydiumが優占する森林があることがわかったので、来年度以降の調査地として加えるべく調査許可取得の手続きを開始した。以上の研究を補佐して頂くため、特任研究員を7月から雇用し、野外調査とデータ解析に従事して頂いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キナバル山において永久調査区の再調査と、針葉樹が多い地点への新設をおこない、生活史特性のデータを得るための基盤を整備できた。ナバワンでも調査区を拡張し、気象ステーションを設置し観測を開始できた。水分生理や土壌栄養についても予備調査をおこなった。キナバル山と屋久島の森林構造をレーザー測距機により調査し、その成果を学会で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は研究代表者が、所属機関の若手教員海外研修制度を利用し、6~12月までイギリスに滞在する。滞在先はキュー植物園であり、マレーシア産の植物標本が充実しているので、標本調査をおこない本研究課題の調査区の植物同定をおこなう。マレーシアの球果植物の分類学的研究は遅れており、信頼できる専門家が同定した標本を手に取って検討できることは本研究課題にとっても大変有意義である。本研究課題では特任研究員を雇用しているので、研究代表者の不在中も現地調査などに支障はない。
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