2014 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯林における球果植物優占のメカニズム:生活史・水分生理・土壌栄養
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23255003
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
相場 慎一郎 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (60322319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 和樹 独立行政法人森林総合研究所, 四国支所, 研究員 (60353877)
武生 雅明 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (00366410)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 裸子植物 / 熱帯林 / 森林動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、コタキナバルで開催された国際蛇紋岩生態学会でキナバル山での研究成果を発表するとともに現地調査をおこない、キナバル山の継続調査区のうち、面積が小さかったものを拡大し、50m四方という標準化された面積で森林間比較ができるようにした。その成果に基づき、特にマキ科とフトモモ科樹種が優占する蛇紋岩上の森林の特性を明らかにした論文を作成し、Australian Journal of Ecologyの国際蛇紋岩生態学会特集号に投稿し受理された。 マリアウ盆地では、前年度の予定を繰り越した分を合わせて2回の現地調査をおこない、マキ科のDacrydiumが優占するヒース林およびナンヨウスギ科のAgathisが優占する森林に50m四方の調査区を設置した。ナバワンにおける気象観測を継続し、マリアウ盆地とナバワンでもリター分解実験を開始し、両調査地の細根量を比較した論文を作成しTress誌に投稿した。 比較対象の鹿児島県屋久島の球果類樹木(スギ科・マツ科)が出現する温帯林を含む異なる標高の森林についても、リター分解実験をおこない、気象観測を継続した。 26年11月には台湾で行われた国際ワークショップに参加し、その発表を機会に西太平洋地域における針葉樹の生物地理について考えをまとめることができた。 特任研究員には、以上に関する野外調査とデータ解析に従事して頂き、27年3月には特任研究員が第一著者となって、キナバル山の森林動態についての論文をJournal of Tropical Ecologyに発表することができた。そこでは、2001-2005年に蛇紋岩地でマキ科のPodocarpusの一斉枯死が起こったことが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キナバル山において調査区面積の標準化をすすめ、その成果に基づく論文を発表できた。また、長期観測データに基づく森林動態の分析結果も論文として発表でき、特にマキ科の一斉枯死が起こったことを明らかにできた。マリアウ盆地では、これでDacrydiumの優占するヒース林に2つ、Agathisの優占する林分に1つの調査区を設置できた。土壌栄養については落葉分解に注目した調査を継続し、水分生理についてもキナバル山での調査を継続した。また、西太平洋地域における針葉樹の生物地理について考えをまとめることができ、本研究の総括へ向けて準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
キナバル山での現地調査をおこない、継続調査区の再調査により20年間にわたる動態データを得る。マリアウ盆地では、フタバガキ林にも50m四方の調査区を設置し、土壌栄養の異なる4調査区という研究デザインを完成させる。リター分解実験と水分生理についての現地調査も継続し、これらの成果に基づくデータ解析を進める。 以上と並行して、来年度は本研究の最終年度であるので、研究を総括したい。3月の日本生態学会大会でシンポジウムまたは自由集会を開催し、本研究の成果を広く発信する。
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