2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 覚 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (00263161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高澤 兼二郎 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (10583859)
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Keywords | 離散最適化 / 劣モジュラ関数 / 近似アルゴリズム / NP困難 / ネットワーク / 離散凸性 |
Research Abstract |
劣モジュラ関数は,凸関数の離散版に当たり,様々な分野で現れるとともに,効率的に解くことのできる離散最適化問題に共通の構造として知られている.一方,実務上重要な多くの離散最適化問題は,NP困難であり,効率的な厳密解法は存在し得ないと予想されている.そのため,現実的な時間内で近似解を得る近似アルゴリズムの設計が研究されてきた.本研究の目的は,このような離散最適化の二つの大きな流れを融合することによって,汎用性の高い近似アルゴリズムを設計する新たな手法の確立にある.具体的には,相互に関連した以下の3テーマの研究を推進する. (1)劣モジュラ関数最大化の近似アルゴリズムの実験的解析 (2)劣モジュラ関数で記述される最適化問題に対する汎用近似アルゴリズムの設計 (3)ネットワーク上の最適化問題に対する近似アルゴリズムの設計 計画初年度に当たる本年度は,上記のテーマのうち,(1)と(2)に注力した. (1)に関しては,カット関数や一般化被覆関数等の主要な劣モジュラ関数のオラクルを実装して,劣モジュラ関数最小化に関する予備的な計算機実験を行った.理論的に保証されている計算量よりも実際の計算量の方がオーダーの意味でも小さくなっているとともに,その実際的な振る舞いは,関数のクラスによることが分かった. (2)に関して,検索結果の表示に関連して注目を集めている順序付け問題に対するAzar,Gamzu,Yin(2009)の2近似アルゴリズムや計算機資源の効率的な配分に関連した最小和被覆問題に対するFeige,Lovasz,Tetali(2004)の4近似アルゴリズムに劣モジュラ最適化の文脈における解釈を与え,同じ近似比で,より一般的な状況設定に適用可能な近似アルゴリズムを設計した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順序付けに関する近似アルゴリズムの設計は,当初の計画通りの成果が得られ,共著論文を投稿できた.劣モジュラ関数ライブラリーの作成も当初の予定より,やや遅れ気味ではあるが,概ね順調に進んでいる.これに加えて,当初の計画にはなかったが,2012年3月にGeorgia工科大学で,劣モジュラ関数をテーマとした研究集会を開催し,計算機科学,OR,機械学習の研究者が一堂に会して議論する場を提供することができた.本研究課題の推進にも役立つと同時に,世界的にも研究の活性化に貢献できたと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
劣モジュラ関数ライブラリーの作成に向けて,基本的な関数の実装を進めるとともに,機械学習の分野において劣モジュラ最適化の応用に取り組んでいる欧米の研究者を招聘し,応用の観点から見て代表的な劣モジュラ関数をベンチマークに加える.
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