2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 覚 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (00263161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高澤 兼二郎 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (10583859)
谷川 眞一 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (30623540)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 離散最適化 / 劣モジュラ関数 / 近似アルゴリズム / NP困難 / ネットワーク / 離散凸性 / 巡回セールスマン問題 / 組合せ剛性理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
劣モジュラ関数は,凸関数の離散版に当たり,様々な分野で現れるとともに,効率的に解くことのできる離散最適化問題に共通の構造として知られている.一方,実務上重要な多くの離散最適化問題はNP困難であり,効率的な厳密解法は存在し得ないと予想されている.そのため,現実的な時間内で近似解を得る近似アルゴリズムの設計が研究されてきた.本研究の目的は,このような離散最適化の二つの大きな流れを融合することによって,汎用性の高い近似アルゴリズムを設計する新たな手法を確立することである.具体的には,相互に関連した3テーマを推進する.(1) 劣モジュラ関数最大化の近似アルゴリズムの実験的解析.(2) 劣モジュラ関数で記述される最適化問題に対する汎用近似アルゴリズムの設計.(3) ネットワーク上の最適化問題に対する近似アルゴリズムの設計. 本年度は,特に (3) の課題に注力し,巡回セールスマン問題 (TSP) の近似アルゴリズムに関する研究を行った.その結果,グラフ的TSPに対して,Steiner 閉路を経由して近似アルゴリズムを設計する新たなアプローチを提案した.また,成分が部分的に与えられた低階数の半正定値対称行列に対する補完問題が一意解を有する条件の組合せ的な特徴付けを与えた.さらに,前年度の研究で得られた双劣モジュラ関数最大化に対する1/2近似アルゴリズムを出発点に,新たな工夫を施すことによって,歪双劣モジュラ関数最大化に対する8/25近似アルゴリズムを設計した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年9月から10月にかけてコルシカ島で開かれた研究集会に招聘され,劣モジュラ関数の最小化と近似アルゴリズムに関する連続講義を行った.同じ研究集会では,劣モジュラ関数最大化や機械学習分野への応用に関する連続講義もあった.講演者を始め,多くの参加者と劣モジュラ関数ライブラリーの作成等,本研究課題の推進に向けた情報交換と研究討論を行った.この他にも,機械学習分野での劣モジュラ最適化の応用研究に取り組んでいる海外の研究者を招聘して,劣モジュラ関数最小化アルゴリズムの実際上の振る舞いに関する情報交換を行った.このように,直接的に論文発表という形には至っていないテーマに関しても,研究計画の推進に向けた活動ができている.
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Strategy for Future Research Activity |
劣モジュラ関数最大化の計算機実験を行うと共に,劣モジュラ関数ライブラリーを作成する.
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