2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300018
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
池永 剛 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90367178)
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Keywords | 信号処理 / 符号化 / マルチメディア / 電子デバイス・集積回路 / マルチメディア情報処理 / ヒューマンインタフェース / ウエアラブル機器 / 情報システム |
Research Abstract |
H.264/AVCに続く次世代の国際規格としてHEVCが提唱され、現在標準化が進められている。HEVCは、次世代の高精細TVやカメラ応用などを指向しており、H.264/AVCと比較して、画質を保ったまま、2倍の圧縮効率実現を目指している。しかし、その一方で、符号化単位がブロックから4分木構造に変更され、さらに多くの適用化処理が盛り込まれようとしており、その演算量増大が大きな課題となっている。HEVCの符号化処理の中で、動き予測、適応型補間フィルタ、直交変換・量子化が、それぞれ平均的に34%、18%、16%の演算量となっており、符号化処理全体の7割を占めている。そこで、今年度は、これら3つの処理の低演算量化に注力した。低演算量化のキーとしては、画像のコンテンツに着目した。特に、動き、周波数特性、エッジ、符号量を示す残余など時間的特微から空間的特徴に渡る輻広い特徴量を取り上げた。事前に算出した特徴量に基づき冗長なパターンやモードを検出し、処理を途中で停止させたり、スキップさせたりする事により、画質を落とすことなくHEVC符号化処理の演算量削減を図った。具体的には、動き予測の低演算量化を目的とした、コンテンツに基づくスキップモード事前予測アルゴリズムを提案し、動き予測の演算量をさらに平均39%削減可能な事を示した。また、コンテンツに基づく階層型適応補間フィルタを提案しATFの処理量を平均33%削減可能な事を示した。さらに、コンテンツに基づく4分木オールゼロブロック検出アルゴリズムを提案し、直行変換・量子化の演算量を種々のHDTV画像に対して平均52%削減できる事を示した。今年度は、さらに動画像圧縮を含む映像システム実現のコアとなる、画像フィルター、物体追跡、特徴抽出などの基本処理にも注力し、成果を発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代の動画像圧縮規格であるHEVCの低演算量に関する成果に加えて、将来の映像システム全体を構成する上での差別化技術となる画像フィルター、画像認識処理(物体追跡、特徴抽出)やアプリケーション技術など幅広い成果を発信できた。成果は、査読付き学術論文6件、査読付き国際会議10件、査読付き国内会議3件、全国大会・研究会8件となった。また、将来の産業化に向けて、企業との技術交流を積極的に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
HEVCはCommittee Draftが完成し、来年度中に最終標準化仕様が固まる予定である。この状況を踏まえて、今年度注力した低演算量化アルゴリズムだけでなく、低コスト、低電力ハードウェアアーキテクチャの検討に着手する。また、初来の映像システム全体を考えた場合、動画像圧縮のみならず、画像フィルター、画像認識処理(物体追跡、特徴抽出)やアプリケーション技術など輻広い視点で検討する必要があるため、引き続き検討を進める。これらに開しても、アルゴリズム検討だけでなく、ハードウェアアーキテクチャの検討を行い、実時間デモシステムを実現して、機器展等に積極的に情報発信する。
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Research Products
(27 results)