2013 Fiscal Year Annual Research Report
3DホロTVを用いた三次元光空間再生の視覚機能による評価
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23300032
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂本 雄児 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (40225826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮永 喜一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (20166185)
奥山 文雄 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (70134690)
宮尾 克 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (70157593)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 3次元画像 / ディスプレイ / 可視化 |
Research Abstract |
1.研究の目的 本研究では、理想の立体映像の原理と言われているホログラフィを用いた3DTVシステム(3DホロTV)を製作し、実機を用いて再生される三次元光空間の特性を視覚機能の面から評価し、人間の視覚系から見た3DTVとしての能力を明らかにすることを目的とする。 また、立体視での疲労の原因や、表示される物体の実在感等を三次元光空 間の特性より探る。具体的には、以下の点を明らかにする。 (1)3DホロTVの立体画質の視覚機能面からの評価を輻輳、調節等を測定し、生理的な反応としての画質の評価を明らかにする。 (2)3DホロTVを用いて、最高空間周波数、解像度、視差の連続性などを変えた場合の様々な立体映像を表示、再生された三次元光空間の何れの特徴がどの様に視覚機能へ影響を与えるかを明らかにする。 (3)上記(2)の結果より得られた視覚機能面から見た三次元光空間の再生特性を持つコンテンツを開発する。 2.平成25年度の研究実績の概要 平成23年度~平成24年度に構築した覚機能測定装置(オートレフケラトメータ)を備えた3DホロTVシステムを用い、平成25年度は表示された立体映像に対する人間の眼の生理的反応の測定を主に行ってきた。この実験では、特定位置に表示された立体映像と指標(物体)の奥行き認識の精度を主観評価するとともに、上記測定装置を用い輻輳角、調節機能の反応を測定し客観評価のデータも得てきた。これらの静的画像を用いた実験とともに、簡単な動画による動的な反応の測定も行い、視覚機能に関する基礎的なデータを得た。これらの実験結果より3DホロTVが静的画像の表示においては、輻輳角、調節機能に関して実物体と同様の生理的反応を誘発することが明らかになった。また,これらの結果を統計的に解析を行い,3DホロTVが0.5Dの範囲において同等性のを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度、平成24年度には視覚機能測定装置(オートレフケラトメータ)を備えた3DホロTVシステムの3D撮像装置、3D画像処理、電子ホログラフィ装置を構築し、この装置を用いることによって表示された立体映像に対する人間の眼の生理的反応を測定可能であることを示した。平成25年度には実験結果より3DホロTVが静的画像の表示においては、輻輳角、調節機能に関して実物体と同様の生理的反応を誘発することを明らかにし,目的の(1)を達成することができた. 目的(2)を達成すべく,様々なコンテンツを制作するソフトウェアも平成24年度から平成25年度にかけて開発されるとともに,電子ホログラフィ装置の光学系も改良され,このソフトウェアとの組み合わせによって,従来の電子ホログラフィにおける画質を大きく凌駕するものの開発に成功した.この点は,当初の予算申請時の計画を超えた進展を見せている.また,動的な映像に対する生理的輻輳角、調節機能の反応については被験者を用いて実験を実施しており,これらのデータは現在,解析中である. 一方,様々な光パラメータでの実験に関しては,三次元光空間の測定方法を検討し、VSNR(Volume Singnal-to-Noise Ratio)を実際の3Dディスプレイで測定する方法を提案するとともに、様々な特性を持つ実際の3Dディスプレイでの測定値を得ることができた。ただし,VSNRによる客観評価と主観評価間の関連を調べる実験において被験者の人数が少なく、十分とは言えないため、今後,多くの人数での実験が必要である。上記のようにソフトウェア,光学系のシステムが揃い,環境が整っていることから、平成26年度当初からのこの点の実験開始が可能である。この様に、一部が遅れ、一部が前倒しとなっており、全体としてはほぼ予定通りに順調に進んでいると言え,平成26年度以降,予定通り進められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は最終年度であり、上記の研究目的に示した3項目の課題を総合的に検討し,これらの疑問に対する回答を得る。 (1) 3DホロTVの立体画質の視覚機能面からの評価に関しては、すでに3DホロTVによる表示が実際に存在する物体と同様の生理的反応を引き起こす能力を持つことが明らかになっており,この点については解答が得られている。ただし, 信頼性向上のためのデータ数の増加は必要であり、平成26年度は更なる実験を行う。 (2) 現状の3Dディスプレイの視覚機能に与える問題点の原因の探求と、今後の3Dディスプレイ装置が持つべき光空間としての特性と標準コンテンツが持つべき特性はどの様なものかを明らかにする.このために,(a)動的映像による実験:基本的実験は平成25年度開始されているが、この実験データの解析と更なる被験者数での実験を行う。(b)光学的パラメータ(最高空間周波数の制限、解像度の制限、視差の連続性、上下方向視差の制限など)を独立にコントロールした三次元光空間の何れの特徴がどの様に視覚機能へ影響を与えるかの実験を行う。これらの実験は上述したソフトウェアにより様々なコンテンツを作り出し,被験者による実験を行い,データを得る。また,解析を行うが、この実験に適するように、さらなるソフトウェアの変更と光学系の一部再設計・調整を行う。 (3) これらの実験データをもとに総合的に、(a)統計的な解析を行うとともに,(b)指標や測定対象、手順、環境等の標準的測定方法の提案、(c)これらの結果の生理的な側面からの解釈等について、分担者の宮尾、奥山とともに検討を行う.特に、視覚機能面から見た三次元光空間の再生特性を明らかにし、研究目的の問いに対する総括を行う。
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Research Products
(10 results)