2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300043
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
岩谷 幸雄 東北学院大学, 工学部, 教授 (10250896)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アクティブリスニング / 音像定位 / 検知限上昇 / クロストークキャンセラ |
Research Abstract |
本研究は、3年を想定しており、3つの課題について検討を加えていく。A)アンビエント環境音のレンダリング技術の構築、B)アクティブリスニング音空間知覚過程の解明、C)アクティブリスニングシステムの試作と評価。以下に、それぞれのサブテーマの本年度の研究実績を示す。 A) アンビエント環境音のレンダリング技術:実際の環境音に近いスペクトルを持つピンクノイズについて、空間分布を与え,聴取実験により音空間のリアリティを測定した。この結果を論文としてまとめた。 B) アクティブリスニング音空間知覚過程の解明:視覚におけるサッカード抑制のような効果が聴覚において現れるかどうかについて、純音(1kHz)の検知限の変容を調べた。その結果、頭部運動を伴う音像定位をした場合に、検知限が上昇する被験者群が存在することが示唆された。また、音像定位のスペクトラルキューについて詳細化し、4kHz~8kHzの帯域の上昇角変化を基に、帯域分割し、その相対レベルを変化させることで、定位角度が変化することを示した。このことから、必ずしもノッチやピークを手がかりとするのではなく、大局的なレベル差を基に上昇角定位をしている可能性があると言える。 C) アクティブリスニングシステムの試作:頭部伝達関数型の聴覚ディスプレイのセンサの装着感を軽減するために、ステレオカメラを用いた計測による頭部方向をセンシングし、それを聴覚ディスプレイのデータとするシステムを試作した。また、ダイナミッククロストークキャンセラの構成方法について、信号処理の観点から検討し、最適なスピーカ配置について一定の結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンビエント環境音のレンダリング技術については、論文として発行することができた。アクティブリスニング音空間知覚過程については、視覚におけるサッカード抑制のような現象が現れる可能性を見出すことができた。アクティブリスニングシステムの試作は、当初3年目を予定していたが、先行してシステム開発を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
アクティブリスニングシステムの試作について、ダイナミッククロストークキャンセラを用いたシステムを念頭に行っていく。また、アクティブリスニング音空間知覚過程に関しては、被験者数や周波数を変化させながら、実際にサッカード抑制的な事象が起こるのかについて確証を掴む実験を進めていく。
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