2011 Fiscal Year Annual Research Report
モバイル型嗅覚ディスプレイの開発と微小時間香り提示に対する人間の嗅覚特性の測定
Project/Area Number |
23300049
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡田 謙一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80118926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重野 寛 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (30306881)
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Keywords | 嗅覚ディスプレイ / 嗅覚測定 / 高齢者医療 / 嗅覚診断 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間の嗅覚特性を慶應義塾大学病院の協力の下、様々な年代の被験者に対して測定し、従来の主観的評価による簡単な嗅覚特性とは異なる精密な知覚特性を明らかにすることである。 本研究を実現するために、まずこれまでの研究手法をもとに(A)同一射出量の香りの提示手法における感覚強度差を調査する。香り提示に効果的な濃度、提示時間、提示回数、提示のタイミングを調べ、最小の射出量で効果的に香りを提示する手法を構築する。続いて、一呼吸内において、射出のタイミングをずらして香りを提示し、それに対する人間の検知能力を測定することで(B)一呼吸内での検知閾値の時間特性を調査する。検知閾値の特性曲線を描くことで、一呼吸内での最も有効な香り提示のタイミングを把握する。これらの結果を踏まえ、現在開発中の嗅覚ディスプレイを用いて(C)より精密なパルス射出に対する人間の嗅覚特性の調査を医学部の協力のもと、様々な年代の被験者に対して行っていく。最終的に、年代ごとの嗅覚特性を考慮し、実用化のために円滑に測定を行うことが可能な(D)健康診断のための嗅覚能力測定プログラムを構築し、地方の会場で老人診療を行うために、持ち運びが容易に可能な(E)電池駆動のモバイル型の小型嗅覚ディスプレイを開発する。 今年度は主にパルス状の香り提示に対する感覚強度の測定実験を行った。その結果,健常人であれば4ミリ秒という極めて短い時間の香りも感じることができる事、また呼吸開始から約0.2秒後に提示した香りの検知閾値が最も低い事などを発見した。この測定実験から得られた知見をもとに嗅覚検査アルゴリズムを開発していく予定である。さらに健康診断に用いるモバイル型嗅覚ディスプレイの設計が終わり、制御用基盤を作成した。またそれと同時に高齢者を対象とした地方の健康診断会場に持ち運び可能なデザインの検討を行い、ワークモデルを試作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定していた同一射出量の香りの提示手法における感覚強度差の調査,すなわち被験者が感知できる最低限の単位時間射出量、被験者が感知できる最低限の提示時間、一呼吸中に感知可能な提示時間の長さ、複数回の刺激と分離して感知することができる最小の射出間隔の実験は全て終わり、嗅覚診断に使う香料の射出方法が決定した。また、モバイル型の嗅覚ディスプレイの基盤制作,外観デザインが終わりワークモデルを試作した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り健康診断用のモバイル型嗅覚ディスプレイの開発を進めると同時に、健康診断に対応するため5分以内で嗅覚測定を行えるようなアルゴリズムを考えていく。また嗅覚ディスプレイのデザインをもとに、臨床医とのディスカッションを行った結果、受診者へ香りを提示する時より利便性が図れるように、嗅覚ディスプレイの香り射出口の形状を今後検討する事となった。
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