2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300075
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
横小路 泰義 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30202394)
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Keywords | マニピュレーション / 作業スキル / 作業教示 / ロボットハンド / 柔軟物操作 |
Research Abstract |
1.汎用性を持つ折り紙ロボットの機構設計製作 巧みな動作を実現するための実験プラットフォームとして,これまでの「おたまじゃくし」を折るロボットの機構を発展させ,「蛙」が折れる程度に汎用性のあるロボットを設計・製作した.以前の研究で開発した折り紙ロボットでは,設計時には直接教示をするという着想がなく,直接教示の際には様々な問題点があったので,本研究では教示のしやすさを設計段階から積極的に織り込んだ.まず機構のガタをなくし,特に紙を押しつける方向に大きな力(約20N)が必要であることから,スカラ型アームに倣って垂直方向に高い剛性を持たせる機構とした.また押しつけ力が加えられる鉛直方向にはコンプライアンス特性を実現できる小型モータ駆動の直動軸を別途付加することで,教示時には機構全体の慣性を感じることなく容易に位置と力の教示が可能となり,再生時には小型モータによるコンプライアンス制御で1N程度のレンジでの精密な力制御と機械バネによる20N程度のレンジでの比較的大きな力の実現を同時に可能となる機構とした. 2.人の実演の統計的性質からの感覚情報と運動成分との動的対応付けによるフィードバック則生成法の確立 これまでの成果である人が複数回行った教示動作を隠れマルコフモデル(HMM)でモデル化し,その統計的性質からセンサフィードバック則を生成する手法を拡張し,複数の異なるセンサ情報から複数の指先運動へのフィードバック則が抽出できるように定式化を行った.またノミナル軌道が折り紙の状態に応じて途中で分岐するような場合を扱えるようHMMの拡張を試みた.これに加え,折り紙の角の位置を検出するために,これまでの光学カメラに加えてレンジセンサを併用することで,折り紙の角が床面から離れていても確実に検出できるような手法を開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間途中の機構設計段階で当初よりも優れたロボット機構の着想に至り、機構の部分試作を通しての検証作業が必要となり、当初予定より設計・製作に時間を要したため,2か月の繰越申請を行った.結果として,優れたロボット機構を設計・製作することができ,機構設計製作はほぼ計画通り達成された. 2011年12月に第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会で「直接教示の容易性と高難易度の折り紙作品の実現を考慮したロボットハンドの設計」と題する研究成果を発表したが,その講演が優秀講演賞として表彰されることとなり,本研究の成果が高く評価された. 人の実演の統計的性質からの感覚情報と運動成分との動的対応付けによるフィードバック則生成法の確立についてもほぼ計画通りであるが,ノミナル軌道が分岐を含む場合へのさらなる拡張の試みたところ,分岐直後には状態遷移の確度がまだ低いために,本研究での手法の枠組みでははっきりと分岐するような軌道を再生することができないことが分かった.
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Strategy for Future Research Activity |
設計製作したロボットの制御部を含むシステム全体の構築を終えた後は,まず遠隔操縦によってロボットが操作可能な機能を付加し,設計製作したロボットがハードウェアとして所望の性能を有しているかを確認する予定である.また作業スキル移殖については,拡張された手法を製作したロボットを使って実験的に確認すると同時に,環境適応能力表現としてこれまでの力センサなどのセンサフィードバック則に加えて,コンプライアンス特性でも実現可能かどうかを検討する予定である.
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