2012 Fiscal Year Annual Research Report
様々な比喩外要因を考慮した比喩の理解・鑑賞過程の認知機構の解明
Project/Area Number |
23300098
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
内海 彰 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (30251664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 真樹 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (80302826)
中本 敬子 文教大学, 教育学部, 准教授 (50329033)
平 知宏 大阪市立大学, 付置研究所, 研究員 (80595687)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 認知科学 / 実験系心理学 / 人工知能 / 言語学 / 比喩 / 意味空間モデル |
Research Abstract |
(1) 比喩外要因として,比喩の使用目的(説明的か詩的か)によって,比喩生成過程にどのような違いがあるかを検討した前年度の実験研究を発展させて,ベクトル空間モデルに基づく比喩生成過程の計算モデルに関して検討し,実験結果をある程度シミュレートできることを示した.この結果は今年度以降の国際会議にて発表予定である. (2) 形容詞比喩が否定的意味を喚起する認知過程解明に向けて,喩辞から連想される語と比喩表現から連想される語について,名詞比喩と動詞比喩の比較を行った.その成果は,CogSci2012で発表された.また,形容詞比喩の否定的意味喚起と詩的度との関係性について分析を行い,研究成果を国際ジャーナルに投稿中である. (3) 比喩内要因である比喩の慣習性・相互作用性が,比喩の主題・喩辞の意味処理過程に関与することを明らかにした.また,比喩外要因である作動記憶が,比喩理解・比喩の面白さ認知の過程に及ぼす影響について心理実験をもとに検討した.これらの成果はCogSci2012などで発表された. (4) 比喩理解におけるワーキング・メモリ容量と言語的知識の影響を調べるため,大学生74名を対象とし,時間制限つきの有意味性判断を求める実験を実施した.ワーキング・メモリ容量はリーディングスパン課題によって,言語的知識は京大NXを用いて測定した.結果は現在も分析中であるが,本年度学会等にて発表の予定である. (5) 比喩理解や生成過程の計算モデルの枠組みであるベクトル空間モデルに関して,コーパス量と性能の関係や,漢字を単位とする新たな意味空間モデルの構築手法などについて検討した.特に後者は日本語の特性である漢字による語彙処理の認知モデルの適切な枠組みを提供できる可能性があるため,今年度も引き続いて研究を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに順調に進んでいるが,当初の計画にはなかった伝達目的の違いによる比喩生成過程の違いを解明する研究にやや重点を置いているために,比喩理解における比喩外要因の影響の検討が若干遅れる結果となった.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに成果が得られた研究については,当初の計画通りに発展させていく.特に,個人の作業記憶容量の違いによる比喩理解・鑑賞過程の影響について研究を行っていく予定である.また比喩生成過程の解明については,新規性の高い研究であるため,実験研究と計算モデル研究の両方から引き続き実施していく.
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Research Products
(17 results)