2011 Fiscal Year Annual Research Report
図的表現系の能力と図的推論の運用に関する総合的研究
Project/Area Number |
23300101
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
下嶋 篤 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (40303341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 恭弘 公立はこだて未来大学, 情報システム学部, 教授 (60374097)
杉尾 武志 同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (60335205)
竹村 亮 日本大学, 商学部, 講師 (70583665)
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Keywords | 推論 / 問題解決 / 図的推論 |
Research Abstract |
図的表現の読み取りには、個別のグラフィック要素(small-scale objects)を解釈する局所的解釈と、複数のグラフィック要素が形成するより大きなパターン(large-scale objects)を解釈する大局的解釈があるといわれてきた。 平成23年度は、竹村を中心に、図的表現上のlarge-scale objectsを解釈することが、図の読み取りにおいてどのような計算論的利点をもつかについて基本的なチューリング・モデルに基づいて研究した。その成果は、「Diagrams2012:図的表現の理論と応用に関する国際学会」で発表することが決まっており、今後、基本的なチューリングモデルを人間の知覚・認知の現実に近い計算論的モデルに発展させることによって、グラフィック表現の大局的解釈の利点に関する厳密な理解を提供することが期待される。 さらに、平成に23年度は、杉尾を中心に、人間が図的表現上のlarge-scale oblectsを背景から取り出し、これを読み取り課題に最適に分節化する際の注意メカニズムについて実験心理学的な方法で研究した。この研究の成果も、上記Diagrams2012において発表する予定である。 これらの研究は、いずれもまだ初歩的なモデルや実験方法に基づくものとはいえ、それぞれ本研究課題における計算論的アプローチと心理学的アプローチの方法論的基盤を模索し、また一定程度確立した点で、きわめて重要な端緒をなしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
竹村を中心とした計算論的研究と杉尾を中心とした実験心理学的研究は、グラフィック表現のlarge-scale objectsの解釈メカニズムとその利点を明らかにするという同一の目的をもち、論理学的・計算論的・心理学的アプローチの統合による図的推論の用意さと効率性の解明という本課題の目的を大きく推進するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の計算論的研究と心理学的研究の基盤に立ち、今後は、計算論的アプローチにおいては、基礎とする計算モデルをより人間の認知の現実に近づける点で充実させ、心理学的アプローチにおいては、large-scale objectsの取り出しと分節化という二つのプロセスの違いをより確かな行動データに基づいて検証できるように実験方法をさらに発展させる。 また、論理学的アプローチにおいては、本研究課題の焦点である前提を図に表現すると同時にその論理的帰結が表示されるという特性と、(b)ある種の抽象的な情報が図に表現できないという特性を、(c)一定の矛盾を表現できない、(d)基本的な意味関係から別の意味関係が派生するという他の二つの特性と関連づけて考察し、図的表現の意味論的特性に関するより体系的な理論の構築を目指す。
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Research Products
(4 results)