2012 Fiscal Year Annual Research Report
健康危機管理のための突発的生起事象を検出する統計モデル
Project/Area Number |
23300107
|
Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
丹後 俊郎 昭和女子大学, 生活機構研究科, 客員教授 (70124477)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 疾病集積性 / 尤度比検定 / ポアッソン分布 / バイオテロリズム |
Research Abstract |
平成24年度は、昨年度から着手した「突発事象が起きた地域の大きさ(クラスターサイズ)に関わらず短時間で、かつ、任意の形状の集積地域を正しく検出できる、flexible spatial scan統計量」の理論的な検討を終了し、大規模なMonte Calro シミュレーション研究により検出の性能が従来の方法より優れていることを明らかにできた。その特徴は、次の3点にまとめられる。(1) 現在のflexible spatial scan に存在した検出可能なクラスターサイズの制限(現実的な計算時間を考慮した最大値30)がない、(2)計算時間が少なくとも、既存の方法の1000分の1程度に短縮できている、更に、(3)Monte Calro シミュレーションにより、クラスターの相対危険度が大きくなるにつれて、どのような形状をもつクラスターでも、その検出確率が1.0に近くなることが示された。その一部の研究成果は国際的に著名な雑誌 Statistics in Medicine に掲載された。 また、二つめの研究テーマである「時空間的に成長している突発的事象を精度よく検出できる統計モデルの研究」については、本年度に改良されたflexible spatial scan 統計量を利用して、時間軸上で推移するoutbreak model を内蔵させることで、従来から難しいと思われてきた時空間領域における突発事象の検出の可能性が見えてきた。その具体的なモデル化とその性能については平成25年度の主要課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的研究ならびにシミュレーション研究がほぼ予定通り進んでいるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成24年度のシミュレーション研究で、他の方法に比べて性能の良さが明らかになったflexible spatialscanの利点を生かし、時空間的に成長する突発的事象が検出できる新しい方法の開発を行う。これまでの時空間的集積地域は時間的な成長は表現できても空間的な広がりを検出する性能は低かった。本研究では、「徐々に時間的、空間的に拡大する」突発事象のクラスターの検出力を改善できるoutbreak modelを内蔵したモデルの開発を目的とする。また、可能であれば、健康危機管理対策を推進するための有用なツールとして期待できるflexible spatial scanを組み込んだソフトウエア(一部、外部委託予定)開発に着手したい。
|
Research Products
(3 results)