2011 Fiscal Year Annual Research Report
セルアレイからのタンパク質分布と発現タイミング情報に基づくがん細胞の特徴化と分類
Project/Area Number |
23300110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松野 浩嗣 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10181744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛 崎偉 山口大学, 教育学部, 教授 (30263750)
近藤 智子 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30379979)
北風 裕教 大島商船高等専門学校, 商船学科, 講師 (70342558)
FAURE Adrien 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (00610627)
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Keywords | ペトリネット / シグナル伝達 / セルアレイ |
Research Abstract |
タンパク質データを取得するシグナル伝達経路の選定を行い、医学的な応用面で有用であり、シミュレーション研究においても実績のあるアポトーシスシグナル伝達経路を研究対象とすることを決定した。古屋は、Fasリガンドによるアポトーシス誘導の実験を行い、リガンド投与後から6時間まで.1時間おきにサンプリングを行うて、細胞内でシグナル伝達の状況が観察できることを確認した。さらに、使用するセルアレイのデザイン、及びデータ取得するタンパク質について予備実験を行った。 タンパク質の濃度と凝集度の散布パターンを分類する手法について研究を行い、自己組織化マップ、ニューラルネットワークを用いた分類手法の開発に取り組んだ。特に、2次元の散布パターンを1次元情報である可視化数列に変換することで情報圧縮を可能にし、分類に必要な計算時間を短縮することに成功した。さらに、この可視化数列を用いて散布パターンを分かりやすくがん研究の専門家に提示する手法を開発した。これは、がん分類のための特徴ベクトル要素としても適用できる。 以上に加えて、シグナル伝達経路を時間ペトリネットを用いてモデル化する方法の開発に取り組んだ。シグナル伝達経路の性質を表現するため滞留なしペトリネットのモデルを定式化し、さらにフードバックや抑制反応をもつシグナル伝達経路の対処方法についても検討した。対応するペトリネットモデルにおいてはサイクル構造と抑止アークを持つことになるが、サイクル構造については、滞留なしとなるためにペトリネットモデルが持つべき条件を求めた。抑止アークについては、対応する分子反応の速度に応じて、適切なモデル化を行う必要があることを指摘し、まずは容易に対応できる低速度反応時のモデル化手法を示した。以上の提案手法の有効性は、IGF-1シグナル伝達経路のペトリネットモデルを用いた確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セルアレイ実験データの取得については、アポトーシス経路を選定してセルアレイのデザインを行い、目的のデータが取得できることを確認できた。タンパク質の濃度と凝集度分布形状からの情報抽出については、当初の予定通り自己組織化マップによって分類可能であることを確認できたことに加えて、ニューラルネットによる検証も行った。さらに、シグナル伝達経路のモデル化については、サイクルと抑止アークを含むペトリネットについてもモデル化が可能になったことで、構造的な制約が無くなった。しかし、実験データのペトリネットモデルへの組み込みについては、適用可能性を云すのに留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はほぼ計画通りに進んでいるので、現在の体制を維持して研究を推進していく。つまり、研究計画の変更はない。あえて言えば、実験データの取得が若干遅れているが、これも体制を変更することなく回復可能な範囲である。
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Research Products
(11 results)