2011 Fiscal Year Annual Research Report
外部トリガーにより安定・同期化する振動人工遺伝子回路の構築
Project/Area Number |
23300111
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
花井 泰三 九州大学, 農学研究院, 准教授 (60283397)
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Keywords | 合成生物学 / 人工遺伝子回路 / 振動現象 / 理論解析 / 微小流体リアクター |
Research Abstract |
本研究は合成生物学分野で研究されている振動回路の安定化を目指している。生体内で構築された人工遺伝子回路を正確に、安定に動作させるためには、外部の環境を正確にかつ均一に、安定に制御する必要がある。そのため、微小流体リアクターを共同研究先に作成してもらい、利用することとした。また、これらの装置の動作確認のため、すでに振動回路として報告されているHasty (Nature, 2008)のプラスミドを分与してもらい、実験を行った。lacIおよびAraC欠損大腸菌を作成し、Hastyプラスミド導入株を構築した。導入株を用いて、微小流体リアクターによる観測を行ったところ、Hastyとほぼ同じ結果が得られたものの、細胞間による振動にある程度の差があり、報告されたものより、個体差が大きいと考えられた。このため、多数の細胞を観測し、統計的にデータ整理必要があることが考えられた。そのためには、現在提案されているリアクターでは、一度の実験で、1ないし2の細胞しかうまく観測できないため、一度の実験で多数の細胞を観測できるリアクターまたは一度の実験で多くの実験条件を観測できるリアクターの開発が必要であると考えられた。また、微小流体リアクターによる観測では、細胞を単層にする必要があるが、積層されうまく観測できないケースも多く見られた。また、細胞増殖が進むと、リアクター内に細胞が完全に充填され、外部環境を安定に均一状態に制御できないことも明らかになった。これらのことから、リアクターの改良が必要であると考えられた。 また、より安定な動作を目指してHastyプラスミドの改良および理論解析を行った。 振動回路の安定化には、マイクロリアクターの開発と振動回路の構成およびその調整重要であり、本研究はその点で、非常に重要な示唆を与えるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Hastyプラスミドを用い、微小流体リアクターで振動現象の動作確認ができた。Hastyプラスミドの改良および理論解析も行い始めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
微小流体リアクターの改良を行い、一度の実験で、多くの実験条件、多数の細胞を観測できる測定系の構築を目指す。また、Hastyプラスミドの改良および理論解析を進め、振動現象安定化を進める。
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