2011 Fiscal Year Annual Research Report
酵母ミトコンドリア蛋白質のmRNA局在化シグナル解析
Project/Area Number |
23300112
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
HORTON Paul 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 研究チーム長 (00371071)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光山 統泰 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 研究チーム長 (20415673)
FRITH Martin 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 研究員 (40462832)
富井 健太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 研究員 (40357570)
|
Keywords | mRNA局在 / ミトコンドリア / mRNA配列解析 / タンパク質局在 |
Research Abstract |
ミトコンドリア局在タンパク質のmRNAには、3'UTRに局在を促進するモチーフの存在が複数の研究によって示唆されている。酵母のATP2とASH1遺伝子の3'UTRには、ミトコンドリア局在を促進するヘアピン様二次構造モチーフの存在がMargeotらによって報告されている(Margeot et al.,Gene 2005)。また、Garciaらは、同じくATP2遺伝子のORF内に存在するヘアピン様二次構造モチーフが、同遺伝子のミトコンドリア局在に関与することを報告している(Garcia et al.EMBO reports,2010)。 これらのモチーフは近縁種間(S.cerevisiae,S,paradoxus,S.mikatae,S.kudriavzevii,S.bayanus)で保存されいることから、他のミトコンドリア局在遺伝子についても類似のモチーフが存在するかどうか調査を行った。従来よりも高い感度で網羅的に探索するために、ここでは配列類似性のみを手掛かりにするのではなく、新しい情報ツールを利用して、二次構造類似性を考慮した探索を行った。 UCSC Genome Browserから当該モチーフの配列アラインメントを取得し、二次構造を考慮した配列アラインメントツールであるCentroidAlignにより再アラインメントを実行した。再アラインメント結果を入力としてCentroidFoldによる共通二次構造予測を行い、二次構造注釈付き配列アラインメントを得た。これをモチーフ情報として、Infernalを用いてプロファイル確率文脈自由文法(Profile-SCFG)を構築し、これを探索パターンとして酵母ゲノム全体について類似モチーフ探索を行ったところ、MargeotらによるATP2類似モチーフが、DTR1のORF、YBR221C(MLR局在遺伝子)の3'UTR領域、Q0140のORF、SEC4(MLR局在遺伝子)の5'上流、YMR171C(MLR局在遺伝子)のORF中に見つかり、ASH1類似モチーフが、ADH7のORF、CTK3のORFに検出された、さらに、GarciaらによるATP2 ORF内の類似モチーフがLTE1のORF、CDC10の3'UTR、SOP4(MLR局在遺伝子)、YJL073W、TRK2、YLR036C、CDC5、GAC1、NIF7のORFにそれぞれ検出された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの解析はできているし、興味深い結果も得ている。ただし、予想外の大発見ができたとは言えない為、「おおむね順調に進んでいる」というのが妥当な評価だと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
H24年度にはmRNAがミトコンドリア周辺に局在する傾向の強さ(MLR値)と、その遺伝子産物である蛋白質の特徴との関連解析を行う。過程として、1)酵母の各蛋白質の特徴を収集する、2)各特徴量2組の相関係数を計算し、似通った特徴量から代表をひとつ選ぶ。3)残った特徴量とMLRの同時確率分布を近似するベイズネットワークを構築する。その内、もっとも作業量が多いのは特徴量の収集となる。MLRの重要な決定要因、またはMLRの重要な影響を見過ごすことの無いよう、様々な特徴量を解析する。その一部を列挙すると、蛋白質の大きさ、mRNA 3'UTR部分の長さ、mRNAの発現量、蛋白質の発現量、蛋白質の物理化学的性質(水溶性など)、ミトコンドリア内局在部位(外膜、膜間空間、内膜、内腔)、N-末端ソーティングシグナル(MTS)の有無、TOM40複合体との相互作用データ、構造ディスオーダ予測、(バクテリアホモログの有無で推理される)蛋白質の進化的由来などを集めて解析を行う。
|
Research Products
(1 results)