2011 Fiscal Year Annual Research Report
軸索髄鞘形成因子ナルディライジンの病態生理学的意義の解明
Project/Area Number |
23300117
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 英一郎 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (30362528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 美紀子 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (10583198)
平岡 義範 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (60397552)
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Keywords | 細胞外ドメインシェディング / 軸索成熟 / 髄鞘形成 / 多発性硬化症 / 低血圧 / 徐脈 / 交感神経 / BACE1 |
Research Abstract |
我々はnardilysin(NRDc)が膜タンパク質細胞外ドメインシェディングの活性化因子であることを明らかにしてきた。NRDc欠損マウス、神経細胞特異的過剰発現マウスの解析から、NRDcが中枢・末梢神経の軸索成熟と髄鞘形成を制御していることを明らかにし、その分子機構としてNRDcがβセクレターゼBACE1によるニューレギュリン1シェディングを制御することを示した。一方NRDc欠損マウスは、明らかな低血圧・徐脈を呈した。以上からNRDcが、髄鞘形成の関わる病態や交感神経調節系において重要な役割を果たすことが示唆された。本申請においては、1)DNRDcによるBACE1活性制御の分子機構解明、2)多発性硬化症、神経再生におけるNRDcの意義、3)交感神経支配を介する循環動態調節におけるNRDcの意義の解明、を目的とした。 平成23年度には以下を明らかにすることができた。 目的1:NRDcがBACE1の未成熟型と複合体を形成すること、NRDc欠損細胞にBACE1を発現させると未成熟型BACE1の割合が増加することがわかった。 目的2:Cuprizone投与による脱髄の程度を、野生型、前脳神経細胞特異的NRDc強発現マウス(NRDc-Tg)を用いて比較検討した。予想に反しNRDc-Tgにおいてより強い脱髄を認めた。一方Cuprizone投与中止後の再髄鞘化は、NRDc-Tgで明らかに増強していた。 目的3:野生型、ヘテロおよびホモ変異体マウスの心臓を用いて、交感神経終末のマーカーの免疫染色を行った。左室心筋を用いた検討で、NRDc+/+は外膜側により多くの交感神経支配を認めたが、NRDc-/-においては、外膜側と内膜側の神経密度に明らかな差は認めず、比較的均一な交感神経支配を受けていた。テレメトリーを用いた解析にて、NRDc-/-が日中、夜間を問わず徐脈を呈することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の平成23年度の計画欄に記した内容について、目的1はやや遅れているものの、目的2、3は順調に進んでおり、全体的にはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
目的3において、心筋特異的(αMHCプロモーター)NRDc強発現マウス(αMHC-NRDc-Tg)の作製、および同マウスと、NRDc-/-マウスの交配による、心臓特異的トランスジェニックレスキューを予定していた。αMHC-NRDc-Tgを作製し、心筋における過剰発現には成功したが、NRDc-/-マウスと交配した場合、充分な心筋NRDc発現が得られないことが明らかになった。原因は究明中だが、同手法を用いることは困難と考えられた。
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Research Products
(9 results)