2011 Fiscal Year Annual Research Report
視床皮質軸索の神経活動依存的な枝分れ形成を担う分子機構に関する研究
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23300118
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 亘彦 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00191429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅生 紀之 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (20372625)
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Keywords | 軸索分岐 / 視床 / 大脳 / 神経活動 / 軸索誘導 / ネトリン / セマフォリン |
Research Abstract |
視床皮質投射の形成過程には、神経活動依存的・非依存的なメカニズムが働いていることが古くから知られている。これまでに、ネトリンファミリーに属するネトリン4が神経活動依存的に発現し視床皮質軸索の枝分れ形成を促進する可能性を示した。この神経活動依存性のメカニズムを解明する上で、神経活動非依存的なメカニズムを知ることは重要である。この問題に迫るために、層構造特異的に発現する遺伝子探索からSemaphorin7A (Sema7A)が発達期大脳皮質4層に強く発現することが明らかになった。領域特異性としてSema7Aは視覚野と体性感覚野に強く発現した。これらの発現パターンから視床皮質投射形成との関連性が強く示唆されたため、次にSema7Aの視床ニューロンの枝分れに対する作用を視床ニューロンの分散培養系で調べたところ、Sema7Aタンパク塗布上で軸索枝分れが顕著に増大した。この枝分れ活性をin vivoで調べるために、Sema7A欠損マウスにおいて視床皮質軸索の分枝を解析した。このために、視床皮質軸索終末のプレシナプスに局在するグルタミントランスポーターVGlut2に対する抗体染色を行った。その結果、野生型に比べてSema7A欠損マウスではGlut2陽性パンクタの数が有為に減少することが明らかになった。さらに、in itero electroporationにより皮質4層にSema7Aを過剰発現したマウスにおいては、逆にGlut2陽性パンクタの数が有為に増加することがわかった。一方で同じく4層に局在するネトリン4の発現はsema7Aの発現後に増加し、神経活動に依存する。以上の結果は、Sema7Aは視床皮質投射の形成期に皮質4層に発現し、その枝分れ形成やシナプス形成に促進的に働くのに対して、ネトリン4はその再編や可塑的変化に対応して機能することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視床皮質軸索の神経活動依存的・非依存的な枝分れ形成を担う分子機構に関する知見が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の計画遂行に大きな変更はない。引き続き軸索分岐からシナプス形成を担う制御機構を細胞・分子レベルで明らかにする。
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