2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞系譜のライブ追跡手法による、脊髄神経細胞分化機構の解析
Project/Area Number |
23300123
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
Principal Investigator |
東島 眞一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 准教授 (80270479)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / イメージング / 細胞系譜 / 神経分化 / 脊髄 |
Research Abstract |
脊髄においては、まず、脊髄の発生期に背腹軸に沿って進化的に保存された転写因子がドメイン状に発現し、各ドメインからそれぞれ特徴的な神経細胞が誕生する。さらに、各ドメインから複数のサブタイプの神経細胞が誕生することが示唆されているが、その詳細はよくわかっていない。そこで、我々はドメイン内の多様性がどのように作られているのかを明らかにすることを目的とし、dbx1という転写因子を発現するp0ドメインから誕生する神経細胞のサブタイプがどのような法則に基づいて誕生するのかを調べた。まず、p0ドメインから誕生する神経細胞を、転写因子Dbx1を利用したトランスジェニックフィッシュを用いて蛍光たんぱく質で可視化し、ドメイン内のサブタイプの全貌を明らかにした。その結果、3種類のグルタミン酸作動性の興奮性細胞と2種類の抑制性細胞(グリシン作動性とGABA作動性の神経細胞)が誕生することを明らかにした。 次に、その多様性がどのような法則に基づいて作り出されるのかを明らかにするため、長期タイムラプスイメージングを行った。その結果、興奮性細胞と抑制性細胞は異なる前駆体細胞から誕生することを明らかにした。さらに、3種類の興奮性細胞のうち、1種類は特別な前駆体細胞から分裂を伴わず、他の細胞の分化するタイミングに先駆けて分化し、残りの2種類の興奮性細胞は同じ前駆体細胞が時間とともに異なる2種類の興奮性細胞を生み出すことを明らかにした。このように、p0ドメイン内の神経細胞の多様性は、複数のメカニズムが複雑にからみあって多様性を作り出されていることが明らかとなった。今後は、p0以外のドメインについても、多様性が作り出されるメカニズムを明らかにしていくことで、複雑な脊髄神経回路網を構築する細胞の多様性が生み出される全貌が明らかにされるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p0ドメインから複数のタイプの神経細胞が生じるメカニズムを、タイムラプスイメージングによって明らかにした。これは、本研究の中核である細胞系譜のライブ追跡により達成されたものであり、ゼブラフィッシュの利点をフルに活用したものである。もっとも大事な研究が進んでいることにより、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、Gsh1を利用したトランスジェニックフィッシュを活用することにより、p4-5ドメインから生じる神経細胞の発生機構の詳細な解析を行っていく。
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[Journal Article] A structural and functional ground plan for neurons in the hindbrain of zebrafish.2011
Author(s)
Kinkhabwara, A., Riley, M., Koyama, M., Monen, J., Satou, C., Kimura, Y., Higashijima, S., and Fetcho, J.R.
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. (USA)
Volume: 108
Pages: 1164-1169
Peer Reviewed
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