2012 Fiscal Year Annual Research Report
成体由来幹細胞の移植による脊髄再生のメカニズム-形態学的究明と新たな動向の推進-
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23300125
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
井出 千束 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (70010080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 義博 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (30252464)
中野 法彦 藍野大学, 医療保健学部, 准教授 (40322721)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 神経再生 / 移植・再生医療 / 脊髄再生 / 再生医学 / 栄養因子 / リハビリテーション |
Research Abstract |
1 細胞移植 : 骨髄間質細胞の髄液内投与を、脊髄損傷1週後、2週後(両者とも亜急性損傷)、4週後(慢性損傷)から開始し、3回(毎週1回)まで注入して、脊髄損傷の治療効果を調べている。その結果、亜急性損傷、慢性損傷のいずれにおいても、移植群ではBBBスコアが10―12ポイントに回復したが、対照群では0―6の範囲に留まった。脊髄損傷部における再生軸索の伸張、組織的な修復、グリア細胞の増殖・遊走などについて調べた。これらを論文に纏めて投稿中である。論文は、現在、細かい点について改訂を要求されている。再投稿の準備をしている。 2 骨髄間質細胞の分泌する有効成分の同定 : 骨髄間細胞の培養上清の中に含まれる(骨髄間質細胞から分泌される)因子で、ニューロンの生存と突起伸張を促進させる分子の探索を続けている。培養液を種々のカラムにかけて分離し、それぞれの分画について、生後1日のラット海馬から培養したニューロンをアッセイ系に用いて、その効果を調べている。分子量のレベル、分子の成分などについてかなり限局されてきた。本年度中には同定されるものと期待している。 3 リハビリテーションの効果 : 脊髄損傷のラットに対して、トレッドミルによる訓練を施してその効果を調べた。後肢の足底を接地させる歩行訓練が脊髄損傷の治療には有効であることが分かった。論文を投稿して、現在改訂中である。 4 有効成分のin vivo における判定 : 骨髄間質細胞の培養液、またはその分画成分を、血液経由あるいは髄液経由で注入して、ラットにおける脊髄損傷の治療効果を調べている。今のところ、血液経由では効果はないが、髄液経由では効果があるという結果を得ている。将来、分離した有効因子の効果を同じ方法で調べ、判定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 亜急性、慢性期の脊髄損傷に対する骨髄間質細胞の移植の効果は明らかになり、長い時間がかかったが、論文が近いうちに発表されることを期待している。 2 骨髄間質細胞から分泌される有効因子の分離は、古典的な方法しかなく、手間取っている。毎週アッセイをして、ようやくマススペクトロメトリーで検索できる迄になっている。本年度中には同定されることを期待している。 3 リハビリテーションの効果については、次の段階として、細胞移植したラットに対する効果を調べるべきである。現在、その実験について計画中である。 4 骨髄間質細胞培養上清から近い将来分離される有効因子を髄液中に注入して、その有効性を確かめる。
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Strategy for Future Research Activity |
1 骨髄間質細胞は、移植された後、生着はしないが効果がある。これは骨髄間質細胞からの液性因子が脊髄損傷部を直接的に、また中枢神経系の特別な部位を間接的に刺激して、そこから出る有効因子によって2次的に脊髄損傷の修復が促進されるのではないかと考えられる。この仮説の下に、脳の特定部位について検索を進める。 2 骨髄間質細胞と違って、神経系の細胞ならば、移植後に脊髄に生着する可能性がある。そのような神経系細胞と骨髄間質細胞との共移植によって、移植細胞の機能を高められるかどうかを検討する。
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Research Products
(10 results)