2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300129
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
秦野 伸二 東海大学, 医学部, 教授 (60281375)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / オートファジー / 酸化ストレス / マウスモデル / SOD1 / ALS2 / p62/SQSTM1 / Nrf2 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位及び下位運動ニューロンの選択的変性を特徴とする進行性運動ニューロン疾患である。ALSは、多数の機能的異常が複雑に絡み合って発症するものと想像されている。本研究は、重要な発症要因の中から、酸化ストレス・タンパク質分解異常、及び細胞内物質移送異常に焦点を絞り、遺伝子改変マウスを駆使することにより、生体レベルでの複数の疾患発症要因の相互連関を明らかにし、最終的にALS発症の包括的分子機構の解明を目指すものである。平成23年度は以下の様な成果が得られた。 1.オートファジー・リソソーム分解系と運動ニューロン疾患発症の関連について 本研究項目では、幾つかの疾患発症要因の相互連関を解析する前に、個別の発症調節因子と運動ニューロン疾患発痒との関連について、変異型SOD1発現マウスALSモデル、(SOD1^<H46R>-TG)を用いて解析する。まず、生体におけるオートファジー・リソソーム系と運動ニューロン疾患発症との関連を明らかにするため、SOD1^<H46R>-TGマウスとp62/SQSTM1-KOマウスを交配させることによりp62/SQSTM1欠損型ALSマウスモデルを作出する。現在、交配によるマウス繁殖を継続中である。解析個体数は未だ不十分であるが、p62/SQSTM1の欠損は変異型SOD1発現マゥスにおける疾唐発症を著しく加速させるという知見が得られた。 2.酸化ストレス系と運動ニューロン疾患発症の関連について 上記1)と同様な手法により、SOD1^<H46R>-TGマウスとNrf2-KOマウスを交配させることにより、Nrf2欠損型ALSマウスモデルを作出し、その分子病態解析により、生体にお-ける酸化ストレス系と運動ニューロン疾患発症との関連を明らかにする。現在、Nrf2-KOマウスの清浄化が完了し、繁殖の準備及びSOD1^<H46R>-TGマウスとの交配を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、多種類の遺伝子改変マウスを使用した動物実験であり、研究初年度に全ての系統の清浄化が完了し、順調に繁殖を行っている。本研究では、さらに各々の遺伝子改変マウス間での交配が必須であるが、多重遺伝子改変マウスの作出効率が予想より低いことが判明した。そのため、平成23年度中に解析予定の個体数が得られず、解析の一部に遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究での進捗状況は、計画より若干遅れているが、「おおむね順調に進んでおり、研究計画の修正及び変更の必要はない。従って、次年度以降も当初の研究計画に従って研究を遂行する計画である。
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