2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300139
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 真樹 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90301887)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 時間情報処理 / 小脳 / 基底核 / 視床 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
時間の情報は我々の認知・行動に不可欠である。最近の症例検討や脳機能画像研究から、その処理には大脳、小脳、基底核がそれぞれ異なった関与をしていることが示唆されている。例えば、数秒以上の時間分別や時間再現には大脳と基底核が関与し、数百ミリ秒以下の運動タイミングの制御や離散的なリズムの学習には小脳が重要であると考えられている。しかし、それらの神経メカニズムに関してはほとんど未知であるといってよい。そもそも、脳内で時間がどのような神経活動によって表現されているのかということについてさえ定説がない。本研究では、大脳-基底核ループや大脳-小脳連関によって重層的に処理されると考えられている時間情報を具体的な行動や神経活動としてとらえるとともに、これらのパラメータ調節に基底核や小脳で知られている特徴的な局所回路がどう関与しているのか、線条体や小脳皮質・核などへの薬物投与による行動への影響を調べることで明らかにする。 2年目にあたる平成24年度には、主として自発サッカードによる「時間再現課題」を用いた実験を行った。固点の色によって、再現させる時間長を0.3秒から2.4秒まで3段階に変化させられるようにサルを訓練し、遅延期間中に禅僧する神経活動を小脳歯状核と線条体から記録した。これまでの機能画像研究からは、秒以下で小脳、数秒では基底核の活動が有意に大きくなるものと予想されたが、小脳歯状核、線条体とも、いずれの時間長でも漸増する神経活動が見られた。興味深いことに、小脳核では運動に対する神経活動の先行時間に大きな変化はなく、数百から500ミリ秒程度であったのに対し、線条体では活動の開始には大きな変化はなく、再現時間によって神経活動の上昇率が大きく異なっていた。また、線条体への薬物投与なども試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体として計画通り、おおむね順調に研究が進展している。計画書に挙げた実験課題のうち、上述の時間再現課題に関しては、すでに興味深いデータが得られている。一方、欠落オドボール課題については、少しずつ新たなデータが集まりつつあるが、やや研究が遅れている。使用中の2頭のうち、1頭が24年秋に死亡してしまい、現在、新たな個体の訓練を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
時間再現課題に関しては、上述の神経活動の時間経過を確固たるものにするため、データを増やす。また、現在すでに着手している、線条体への薬物微量投与を進め、H25年度中に論文投稿にまでこぎつけたい。オドボール課題に関しては、今春、大学院に進学した学生2名が中心となって、引き続き実験とサルの訓練を進めている。H25年度中に記録実験を開始できるようにしたいと考えている。また、イオン泳動法を利用して、これまで行ってきた単一ニューロン記録と薬物投与を同時に行えるようにしようと考えている。
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Research Products
(17 results)