2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23300140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西住 裕文 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30292832)
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Keywords | 嗅覚 / 神経回路形成 / シナプス形成 / 遺伝子改変マウス / 二光子レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
嗅覚は、餌への誘引・危険物からの忌避・個体の識別など、虫から高等動物に至るまで、生き物の存在にとって極めて重要な役割を担う。これ迄のマウスを用いた研究により、発生期に嗅上皮と嗅球の間をつなぐ嗅神経細胞の自律的な一次投射の概要がほぼ解明されてきたが、これに続く僧帽/房飾細胞による二次投射、すなわち嗅球と嗅皮質の間をつなぐlogicsについては依然として不明な点が多い。本研究課題ではまず、発生過程において一次投射の結果として自律的に形成される糸球マップが、二次神経である僧帽/房飾細胞にどう接続するかについて解析した。 僧帽細胞は発生に伴い、分枝し複数の糸球体に接続する樹状突起から枝狩りを行い、最終的には1本の主樹状突起を1つの糸球体に接続させることが知られている。そこで我々は研究室で保持されている様々な遺伝子操作マウスを用いて、一次神経からの入力無しで二次神経とのシナプス形成が遺伝的プログラムでどこ迄進むのか、異所的に糸球が形成された場合、二次神経細胞への入力が正常に行われるのか、糸球内シナプス形成が嗅神経細胞の神経活動に依存するのか等について解析した。その結果、相方である嗅神経細胞の軸索は必須であるが、嗅神経細胞で発現している嗅覚受容体の種類や、CNGチャネルを介した嗅神経細胞の神経活動は必須ではなく、僧帽細胞はその細胞体の位置から近傍に形成される糸球体に主樹状突起を接続させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二光子レーザー顕微鏡を用いて、僧帽細胞の樹状突起が糸球体に接続する様子を可視化するシステムの構築に成功した。さらに、様々な遺伝子改変マウスを解析することによって、発生期、どの様なファクターが僧帽細胞の樹状突起の成熟に必要であるかを明らかにすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、発生期に、嗅覚系一次神経細胞軸索と二次神経細胞の樹状突起がシナプスを形成仕組みがある程度明らかになった。そこで今後は、常時再生を繰り返す嗅覚系にあって、出生後に一旦完成する糸球マップが、長期的にはどの様に維持、あるいは変化するのかについて解析を加える。具体的には、鼻腔奥に存在する嗅上皮の領域特異的に発現する酵素を利用し、腹腔内に薬剤(dichlobenil)を投与して嗅上皮の限局した領域の細胞を任意の時期に除去した場合、嗅神経回路がどの様な影響を受けるかを調べる。
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