2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300143
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
関 和彦 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・モデル動物開発研究部, 部長 (00226630)
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Keywords | 霊長類 / 反射 / 脊髄 / 介在ニューロン / 筋電図 |
Research Abstract |
これまで申請者らが行なってきた覚醒サル頸髄部からの神経細胞活動記録においては、運動ニューロンプールに興奮性の出力をもつニューロン(興奮性介在ニューロン)が多く記録されたが、抑制性介在ニューロンと推定されるニューロンの記録例は少なかった。その理由として抑制性介在ニューロンは細胞体のサイズが小さい事が知られており、記録方法の改良が必要となった。そこで、当該研究の当該年度においては、これまで用いてきた脊髄ニューロンからの慢性記録の方法に加え、自作のエルジロイ電極・ガイドチューブの使用などによって収率を高める方法を確立することであった。そこでエルジロイ電極・ガイドチューブを自作できる環境を整え、また製作技術を確立した。次に抑制性細胞の同定は申請らが過去三年間改良してきたspike-triggered averaging法を改良した。つまり前腕の屈筋及び伸筋群(n=12)に筋電図用電極(ステンレス製)を慢性的に埋め込み、当該ニューロンのspikeをトリガーにして筋電図を加算する。もし、当該ニューロンが任意の運動ニューロンプールに抑制性の投射を持つ事は、その筋にpost-spike suppressionが認められる事によって同定できる。この方法に加え、post-spike suppressionの評価方法に複数の統計量を用いることによって、より感度の良いpost-spike suppressionの評価を可能にした。このような方法の組み合わせによって、本研究でターゲットとしている、屈筋に投射を持つ場合相反性抑制を中継する「Ia抑制性介在ニューロン」などの同定が可能になった。さらに、伸筋に抑制性投射をもつ介在ニューロンの場合、末梢神経への刺激を強くして、運動ニューロン軸索を逆行性に興奮させることによって抑制性ニューロンの同定を行うことが可能なことが明らかになった。つまり、同刺激に高頻度持続性応答を示す場合は「レンショウ細胞」、示さない場合は自源抑制を中継する「Ib抑制性介在ニューロン」と同定する方法が確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去の実験データの再解析などから、神経細胞の同定についての方法論確立は予想以上に進展した。しかし、行動計測用のマニピュランダムが故障し、数ヶ月間動かなかったためサルの行動訓練はやや遅滞している。
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Strategy for Future Research Activity |
修理が完了したマニピュランダムを用いて速やかに行動訓練を完了し、本年度確立した方法論を用いた実験を遂行する。
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