2011 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンリモデリング分子ATRX遺伝子改変マウスによる脳発達障害の分子病態解明
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23300147
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
北島 勲 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (50214797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 寿 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (00239617)
別府 秀幸 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 准教授 (20550479)
福永 浩司 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90136721)
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Keywords | 精神遅滞 / エピジェネテイクス / クロマチンロモデリング / ATRX症候群 / ノックアウトマウス / ES細胞 / 発達障害 |
Research Abstract |
ATRX遺伝子はX染色体上に存在しており、我々の用いたマウス胚性幹細胞(ES細胞)は性染色体(X/Y),上にATRX遺伝子は1コピーしか存在していない。ATRX遺伝子のコンディショナルノックアウトを作成するためには、このATRX遺伝子座においてターゲティングベクターとの相同組換えを行った後もATRX遺伝子発現を正常に保つ必要がある。今回、用いたターゲティングベクターはエクソン7の上流のイントロン6と下流のイントロン7にLoxP配列を挿入した。さらにイントロン6に薬剤選別マーカーとしてPGK-neoカセットを挿入した。このPGKI-neoカセットは両端にLoxP配列をもち、Cre組換え酵素を用いて、組換え体から取り除くことを可能とした。このターゲティングベクター相同組換えがサザンプロット法にて確認できたES細胞を野生型受精卵(blastocyst)にインジェクションを行い、キメラ率90%以上のキメラマウスを3匹得ることができた。これらのキメラマウスを用いて、さらに交配を進めたが、交配用メスマウスが妊娠することはなかった。3ヶ月後に、キメラマウスの精巣を解剖し、精子の数、運動性観察を行った。3匹キメラマウスすべてにおいて、精子数の著しい低下、運動性の低下を認めた。この結果より今回作成されたキメラマウスは不妊であり、再度作成を行う必要があることが分かった。そこで、ターゲティングベクターに含まれているPGK:・neoカセットがATRX遺伝子の正常の発現に影響している可能性を考え、組換えを確認したES細胞からPGK-neoカセットのみを除去する実験を行った。ES細胞の培養条件下でCre組換え酵素を一過性に発現させ、PGK-neoカセットのみが除去された組換えES細胞をさらにサザンプロット法でスクリーニングを行った。現在、そのES細胞(PGK-neoなし)を新たにblastocystにインジェクションしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、1)軽症ATR-X症候群モデルマウス(ATRXエクソン2ノックアウトマウス)を用いた侵入者に対する行動解析を予定どおり実施し、攻撃性など社会行動異常を確認した。また、スパイン微細構造異常が存在しCAMKII活牲化シグナルの異常を明らかにして論文発表を行った。2)予定どおりCre-loxPシステムを用いたATRXエクソン7コンデショナルノックアウトマウスの作成を行った。エクソン7の上流のイントロン6と下流のイントロン7にLoxP配列を挿入したターゲティングベクターを作成した。さらにイントロン6に薬剤選別マーカーとしてPGK-neoカセットを挿入した。このPGK-neoカセットは両端にLoxP配列をもち、Cre組換え酵素を用いて、組換え体から取り除くことを可能とした。このターゲティングベクター相同組換えがサザンプロット法にて確認できたES細胞を野生型受精卵(blastocyst)にインジェクションを行い、キメラ率90%以上のキメラマウスを3匹得ることができた。これらのキメラマウスを用いて、さらに交配を進めたが、交配用メスマウスが妊娠することはなかった。以上、キメラマウスまで作成できたが、このマウスが赴任であったため交配してホモマウスが得ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Cre-loxPシステムを用いたATRXエクソン7コンデショナルノックアウトマウスの作成の継続: 平成23年度に作成された3匹キメラマウスすべてにおいて、精子数の著しい低下、運動性の低下を認めた。この結果より今回作成されたキメラマウスは不妊であり、再度作成を行う必要があることが分かった。そこで、ターゲティングベクターに含まれているPGK-neoカセットがATRX遺伝子の正常の発現に影響している可能性を考え、組換えを確認したES細胞からPGK-neoカセットのみを除去する実験を行った。ES細胞の培養条件下でCre組換え酵素を一過性に発現させ、PGK-neoカセットのみが除去された組換えES細胞をさらにサザンプロット法でスクリーニングを行った。平成24年4月現在、そのES細胞(PGK-neoなし)を新たにblastocysttにインジェクションしクローンを選別し、新しくキメラマウスを作成中である。6月には交配によりホモマウスを得る予定である。ホモマウスが得られれば、当初の平成24年度研究計画どおり、時間制御が可能となるタモキシフェン誘導型コンデショナルノックアウトマウス、組織制御が可能となる海馬体特異的CaMK-Creマウス、扁桃体特異的Khx7/8-Creマウス等と交配して組織機能解析を行う予定である。
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Research Products
(4 results)