2011 Fiscal Year Annual Research Report
大脳領野間機能的シナプス結合の系統的光マッピングと領野間シナプス可塑性の研究
Project/Area Number |
23300148
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
松崎 政紀 基礎生物学研究所, 光脳回路研究部門, 教授 (50353438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 尚巳 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・遺伝子疾患治療研究部, 室長 (00326828)
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Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / 高性能レーザー |
Research Abstract |
大脳においては局所領域内での神経活動だけではなく、複数の領野にわたって信号を受け渡しし、多数の神経細胞が協調的にかつ持続的に活動している。課題関連領野や領野間の相関活動などは、機能的MRIなどによって調べられるが、より高い空間解像度で、どの細胞がどの領野からどの程度の機能的入力をうけ、またその領野間結合において可塑性が誘発されるかについては殆ど不明である。そこでげっ歯類において、光刺激マッピング法と広域神経活動光計測を組み合わせることで、1)大脳領野間の機能的シナプス結合を系統的に明らかにし、高次・低次領野間の結合様式を解明し、異感覚情報の統合領野を同定する。 2)単一細胞レベルでの領野間シナプス結合様式と、3)領野間シナプス結合可塑性の性質、を明らかにすることを目的とする。本年度はCCDカメラで低解像度の領域マッピングを行なう予定であったが、単一細胞レベルでの高解像度反応を見ることができる2光子イメージングによるカルシウムイメージングが広範囲でも可能であることが判明したため、この実験系(目的2)を優先的に構築した。本年度研究分担者が作製したアデノ随伴ウイルス(AAV)の大脳皮質2/3層への導入によって、広域にわたってカルシウム感受性蛍光タンパク質を発現させることができるようになった。これに対して広範囲にわたって2光子イメージングを行うことによってまず始めに運動野を同定することが可能となった。またChR2遺伝子導入マウスにおいて、本ウイルスを導入し、ChR2を光刺激しながら同時にイメージングを行い、それによる反応細胞を同定することを可能とした。同様にChR2を広範囲の皮質2/3層に発現させるために、新たにアデノ随伴ウイルスを作製した。また逆行性蛍光トレーサー導入による領野間結合様式が明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AAVによる広範囲の大脳新皮質細胞への遺伝子導入が可能となり、これを広範囲にイメージングすることが可能となった。また逆行性トレーサー導入によって形態学的シナプス結合様式が明らかになりつつある。また主たる標的領野皮質でのイメージングも開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
領野間シナプス結合様式を明らかにするために、光刺激法の最適化とイメージングの最適化を行なう。特にこれらを系統的に行うためには、より良い光感受性タンパク質のアッセイが必要であることがわかってきたため、コンソトラクト作製を含めこれを効率的に行なう。最適化を図りながら、領野間シナプス結合の方向性や単一細胞レベルでの分布を系統的に明らかにしたい。
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Research Products
(9 results)