2013 Fiscal Year Annual Research Report
大脳領野間機能的シナプス結合の系統的光マッピングと領野間シナプス可塑性の研究
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23300148
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
松崎 政紀 基礎生物学研究所, 光脳回路研究部門, 教授 (50353438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 尚巳 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・遺伝子疾患研究部, 室長 (00326828)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / 高性能レーザー |
Research Abstract |
大脳においては局所領域内での神経活動だけではなく、複数の領野にわたって信号を受け渡しし、多数の神経細胞が協調的にかつ持続的に活動している。そこでげっ歯類において、光刺激マッピング法と広域神経活動光計測を組み合わせることで、1)大脳領野間の機能的シナプス結合を系統的に明らかにし、高次・低次領野間の結合様式を解明し、異感覚情報の統合領野を同定する。2)単一細胞レベルでの領野間シナプス結合様式と、3)領野間シナプス結合可塑性の性質、を明らかにすることを目的とする。本年度は、アデノ随伴ウイルス(AAV)によってカルシウム蛍光タンパク質(GECI)を大脳皮質第一次運動野に導入し、第一次運動野のGECI発現細胞から対側第一次運動野、高次運動野、または頭頂葉へ投射する軸索活動を、前肢運動課題遂行中に2光子イメージングすることに成功し、前肢運動に関連する活動を見出した。この際に、各種GECIを試み、最適な遺伝子導入方法を確立した。これらの領野から第一次運動野に投射する逆向きの軸索においても前肢運動関連活動を見出した。これらの機能的結合は、解剖学的にも確かめられた。次に、これらの投射軸索と結合する樹状突起を明らかにするためのイメージングの実験系が可能であることを確認した。AAV導入では一部の領野でしかGECIを発現させられないため、大脳皮質広域にわたってGECIを発現させるために大脳皮質全体で発現できる遺伝子組換えマウスを導入した。これを広域にイメージングすることで反応性が異なる領野を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AAVによる大脳皮質へのGECI導入方法を確立することで、異なった領野間を繋ぐ軸索活動を2光子イメージング可能とし、運動発現に関連する活動を見出すことが出来た。これらの軸索が結合するシナプスを見出すためのイメージング技術も確認した。まだ結合様式の解明、可塑性の誘発には至っていないが、非常に困難が予想された技術的な問題点はクリアできた。運動課題遂行中にもイメージングを可能としたため、課題訓練中に日を追ってイメージングを行うことで可塑性を誘発できると期待される。さらに広域イメージングが大脳皮質の全体的活動を捉えることに有効であることを見出したことは大きな進歩であり、おおむね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
高次運動野と一次運動野間、頭頂葉と一次運動野間での軸索活動に可塑性があるかどうか明らかにするため、運動学習中にこれらを繋ぐ軸索活動に変化が起こるかどうか、またこの軸索をChR2によって頻回光刺激したときに投射先の細胞活動が変化するか調べる。広域にわたるシナプス結合様式を系統的に調べるために、遺伝子組換えマウスを用いて広域でのシナプス結合を2光子イメージング、光刺激マッピングによって明らかにする予定である。
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