2011 Fiscal Year Annual Research Report
周産期心筋症モデルマウスの確立と発症メカニズムの解明
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23300152
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石田 純治 筑波大学, 生命環境系, 講師 (30323257)
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Keywords | 妊娠恒常性 / 周産期心筋症 / APJ受容体 / トランスジェニックマウス / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
周産期心筋症(Peripartum cardiomyopathy(PPCM))は、心疾患既往のない女性が、周産期(妊娠後期満22週から出生後満7日未満)に突然心不全を発症し、重症例は致命的となる重篤な疾患である。深刻な少子化と超高齢化に突入している我が国にとって、個々の出産の健全化は急務であるが、周産期心筋症の原因は不明である。 7回膜貫通型受容体APJは、循環器系組織において高い発現が認められるホルモン受容体であるが、詳しい生理作用はほとんど明らかとなっていない。最近、我々は心臓特異的APJ過剰発現マウス(MHC-APJ)が、ヒトの周産期心筋症と類似の症状を呈することを突き止めた(未発表)。 そこで、本研究では心臓におけるAPJ受容体機能に着目して、(1)MHC-APJマウスを周産期心筋症モデルマウスとして確立し、(2)原因不明、治療困難な周産期心筋症発症の分子メカニズムを解明することを目的とした。 平成23年度は、「MHC-APJマウスのヒト周産期心筋症モデルマウスとしての特質の検証」のため、妊娠中、妊娠後のMHC-APJマウスに関して、心エコー解析を用いた詳細な心臓の機能評価を行うとともに、心臓の組織病理学的解析を行った。解析の結果、MHC-APJマウスは、(1)出産後の母親マウスが拡張型心肥大を伴う重篤な心機能低下を呈すること、(2)これら病態は出産を経るたびに増悪化し、最終的には母マウスは心不全にて死亡すること、(3)これら病態はヒトの「周産期心筋症:Peripartum cardiomyopathy(PPCM)」と類似の症状であること、が確認され、MHC-APJマウスは本疾患のモデルマウスであると結論づけた。また、母マウスから産仔を隔離する実験から、MHC-APJマウスで認められる周産期心筋症の発症には、出産後の「授乳」イベントが重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MHC-APJマウスを用いた経時的な心エコー解析および病理解析から、本マウスが未だ発症原因が不明であるヒトの周産期心筋症の病態モデルとなり得ることを証明した。さらに、病態発症の要因として、新たに「授乳」イベントが重要であることを突き止めた。これらのことは、周産期心筋症においてAPJ受容体の活性化と授乳による周産期恒常性変化との組み合わせが極めて重要であることを示しており、病態発症の分子メカニズムを明らかとする突破口となると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の結果を受け、本年度は、心臓におけるAPJ受容体機能と、周産期心筋症との関連を解明するため、心臓内にて変動する遺伝子およびタンパク質の動態を解析するとともに、授乳イベントに重要な、プロラクチンおよびオキシトシンに着目し、APJ受容体シグナルや周産期心筋症の発症機序との関連解明に向けた分子的な解析を進める。
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Research Products
(17 results)