2012 Fiscal Year Annual Research Report
マウスノロウイルス主要キャプシド蛋白Pドメインの機能解析と感染阻止効果
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23300153
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
國田 智 自治医科大学, 医学部, 教授 (10195472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八神 健一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40166476)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ノロウイルス / マウス / キャプシドタンパク質 / 血清検査 / 遺伝子検査 / 免疫応答 / ウイルス動態 |
Research Abstract |
1)自然感染マウスにおけるMNV検査法の評価: MNV陽性8施設のマウス148匹を用いた解析の結果、各検査法の検出感度は、PCRが87%、IFAが90%、ELISAが88%、MFIが91%とほぼ同レベルであった。一方、MNV陰性29施設のマウス162匹を用いて評価した特異性は、PCRとIFAが100%、ELISAが96%、MFIが90%であり、MFIは感度が高く、ELISAは特異性に優れていた。以上の結果、組換えVP1抗原を用いたELISAやMFIでスクリーニングし、IFAで確認するMNV血清検査法の実用性が明らかになった。 2)実験感染マウスでのウイルス動態と免疫応答の解析: MNV同居感染マウスでは、同居1週目から1年後まで80%以上の個体でRT-PCR法でMNVが検出された。一方、MFI法による抗体検査では同居3週目から抗体陽性例が検出され始め、12週後に陽性率が100%に達し、1年後も全例で抗体価の持続がみられた。したがって、MNV感染マウスでは糞便中へのウイルス排出が1年以上続いて長期に感染源となり、その間も高い血中抗体価を持続することが確認された。 3)MNV-VP1タンパク質のPドメインおよびPサブドメインの構築と機能解析: MNVのVP1タンパク質およびVP1のPドメイン、P1-1、P1-2、P2の各サブドメインをGST融合タンパク質として大腸菌で作製し、MNV感染マウス血清との反応性を解析した。PドメインとP2サブドメインで抗MNV抗体との反応性が認められるものの、VP1 full component抗原の反応性が強く、融合タンパク質での抗原性の立体障害や立体構造変化の影響が推察された。His-tag化したPドメインと各サブドメインの作製、ならびにマウスを用いたin vivoでの免疫原性、in vitroとin vivoでの感染阻止効果の解析を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MNV感染検査法は、組換え抗原でのスクリーニング系とIFAによる確認検査系を含めて整備を完了し、MNV感染症のモニタリング法として実用化に成功した。MNV体内動態と免疫応答の解析については、持続感染の成立を含め長期的動態が明らかとなり、血中抗体と局所抗体の役割を検討する段階にある。Pドメインおよびサブドメインの組換えタンパク質の構築は、発現ベクターやtagの影響を検討するために追加実験が必要となったが、最終年度に向けてin vitroとin vivoレベルで各ドメイン、サブドメインの機能解析が開始できる進捗状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
MNV VP1タンパク質のPドメインおよびPサブドメインについて、MNV感染マウス血清との反応性マッピング、マウスに対するin vivoでの免疫原性の解析を継続して進め、免疫応答・感染防御上重要な抗原領域を同定する。また、Pドメイン、各Pサブドメイン、Pドメインのdimerから形成させたウイルス様P粒子を用い、各抗原のMNVレセプター結合能やin vitroでのMNV増殖抑制効果を調べることで、Pドメインの機能を解明する計画である。さらに、感染阻止抗体のin vivoでの有効性を全身性および局所性に評価し、ノロウイルス感染制御法の確立に向けて研究を展開させる予定である。
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Research Products
(1 results)